環境問題を考えるための「0から0.1に」
上田 マリノ

Venus Talk

環境ナビゲーター 上田マリノ

近年の気象問題、ゴミの問題、リサイクル活動……。
環境ナビゲーター・上田マリノさんは、様々な活動を通して身近な環境問題に取り組んでいる。
自分の問題として環境を考える活動とは?
無理なく、持続的に行うためのコツは?
自由にしなやかに実践する環境問題への取り組みを追う。

美術大学に在籍中、つくっては捨てられる作品群に疑問を持ち、環境倫理に興味を持った上田マリノさん。卒業後、エコアイドルとして講演やイベントへの参加など、環境問題に関する活動を始めた。
「学生時代、世界の貧困の現状について学びました。地球上のすべての人が同じ水準で暮らすことは、到底無理であること、地球の資源は限られていることを知り、エコ活動に目覚めたのです」
資源の無駄遣い、大地や水の環境破壊は、巡り巡って、自分も含む人類全体を苦しめることになる。ならば、自分の住む地球の環境を守るために、できることから始めよう――。そんな思いで、環境問題について考える活動を始めた。
上田さんの講演では、渋谷でのコスプレによるゴミ拾い活動など、おもしろいエコ活動の例も紹介している。「環境意識を0から0.1に」をモットーに、1人でも多くの人に、環境について考えるきっかけを与えたいと考えている。
ただし、単純に環境保護だけに偏った考えではいけないとも言う。
「エコロジーとエコノミー、どちらも大事だと思います。環境保護だけに偏ると経済的に社会が回らなくなるし、かといって経済活動を優先すれば、自分たちの住む地球に悪影響が出ます。持続可能な社会のために、何をすべきか。両者のバランスが必要だと思います」
普段の生活の中で気軽にできるエコ活動として、シャワーヘッドを節水型に取り替えること、窓の外側にすだれを設置することなど、小さな工夫を薦める上田さん。
「ちょっとした切り替えを思いついた時にすぐにやることが大切。それが継続につながりますから」
上田さんの思いは続く。次世代への案内役、環境ナビゲーターとしての活躍が期待される。

取材・文/ひだい ますみ 写真/竹見 脩吾

廃棄野菜(にんじん)からつくった染料で染めた扇子。飲食産業で廃棄される野菜の量も懸念している。
歌手として、エコアイドルとして活動してきた上田さん。「きっかけはどうであれ、環境問題に興味を持ってもらえればうれしいです」と言う。
柄が気に入って愛用しているというマイバッグ。

PROFILE

環境ナビゲーター 上田マリノ

うえだ まりの
1984年、埼玉県生まれ。武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科卒。2008年、エコメッセージを伝えるユニット「エコガールズ」を結成。同年、eco検定(環境社会検定試験)合格。ライター、歌手、モデルとして、エコに関する多彩な活動を展開。所沢市マチエコ大使としても活躍中。一児の母。