電力の東西連系を骨太にする広域的事業に充実感があります。

POWER PEOPLE

東西連系増強準備事務所(静岡県静岡市)

 

東日本大震災の際は、原子力発電所が停止し、供給力が低下した。この状況下、東日本エリアの電力不足を補うために西日本エリアの電力が融通されたが、東西で異なる周波数(50Hz/60Hz)の変換設備や送電線の容量が足りず、計画停電や電力使用制限などを余儀なくされた。
そうした経緯から電力広域的運営推進機関は大規模災害発生時の電力供給体制を見直し、2016年6月「東京中部間連系設備に係る広域系統整備計画」を策定。東西間で融通可能な電力量を90万kW増やして300万kWとし、そのうち30万kWを静岡県の佐久間周波数変換所と、佐久間東幹線・西幹線の増強で賄うことを決めた。
「その佐久間周波数変換所と静岡県、山梨県、愛知県を通る送電線をJ-POWERが所有しており、増強工事も弊社が行います。我々はその準備を行っており、いわば日本に必要な東西連系を骨太にするための事業であり、常にも増してやりがいを感じています」
入社15年目の毛木健二郎さんはキャリアの過半で立地を担当。技術グループと共に山野をめぐって送電線のルートや鉄塔の設置場所を検討し、行政など地元関係者から理解を得るべく計画説明などを行う。人一倍タフネスが求められる職種だろう。
「業務はスピード、誠実、正確さの3Sを信条にしています。交渉ごとは相手方の身になって考えることを第一に。今回、60数年ぶりに送電線を建て替えるにあたり、先輩方が地域の皆さんと良好な関係を築き、礎としてくれたことに感謝しています」

取材・文/内田 孝 写真/斎藤 泉

建替送電線は既設送電線に沿って設定する計画で、山間部を経過するルートになる。鉄塔の配置を決めるための現地調査も立地グループの大事な役目だ。
建て替え後に既設送電線を撤去する工事まで視野に入れ、綿密に現地踏査を進める。
林道を走り、山道を歩く。危険も伴うため作業は2人1組で。
ミーティングで現況報告や情報共有を行い、対応方針を検討する。
対外折衝の機会も多い毛木さんは、真っすぐな視線が印象的だ。

PROFILE

J-POWER 東西連系増強準備事務所
立地グループ
毛木 健二郎