八重山ミンサー(沖縄県石垣市)
小島 なお

「音のソノリティ」を詠む

ミンサーの藍色の夜の向こうにはまだ会わぬひともう会えぬひと

歌人 小島 なお

じゃらじゃら。ざっ。とんとん。豊かな自然に囲まれた工房からは織り機を動かす規則正しい音が聞こえてくる。
沖縄県石垣島。八重山ミンサーは約400年前から八重山諸島に伝わる伝統織物。琉球語で「綿(ミン)で織られた幅の狭(サー)い帯」が由来とも。琉球王朝時代に木綿栽培と、中国との交易記録があることから、17~18世紀頃にはすでにミンサーがあったとされる。
通い婚の風習があった頃、女性が男性へ愛の証しとして贈る藍染めの帯「ミンサーフ(ウ)」がその原型という。絣模様の5つと4つのマス目には「いつ(五)の世(四)までも末永く」との心が、両脇のムカデ足に似た模様には「足繁くおいでください」の意が込められる。
かつて男女の心を結んだミンサーは、昔と今の歴史を結んでいる。

※ 「音のソノリティ」第787回放映(八重山ミンサー)を観て詠んでいただいたものです。

八重山諸島の伝統織物・八重山ミンサーを織る職人さん。
写真:okinawa_photography / PIXTA

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PROFILE

こじま なお

東京都出身。2004年角川短歌賞受賞。2007年第一歌集「乱反射」により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2011年第二歌集「サリンジャーは死んでしまった」刊行。居合道初段。

音のソノリティ 世界でたった一つの音

J-POWERは、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。

日本テレビ系列 毎週日曜日 20 :54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 20 : 54 ~ (再放送)