再エネで注目される地熱発電に熱気と粘り腰で挑み続けます。

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J-POWER火力建設部地熱室

 

積極活用が推進されている再生可能エネルギーの中でも、「地熱」への期待が高まっている。純国産資源/発電時のCO2排出が少ない/天候に左右されない/設備利用率が高く低コストといった地熱発電の利点が、ベースロード電源の担い手として存在感を増してきたのだ。
しかし、新たに地熱発電所を開発するには、地中深くから発電に用いる高温・高圧の熱水や蒸気の場所を特定しなければならず、条件を満たす建設適地を探り当てるための調査や試掘に、高い技術力と10年規模の開発期間を要するのが課題だ。
「何も見えない地中深く井戸を掘り進めて地熱貯留層にたどり着く。この難題を解くために様々な技術を組み合わせます。例えば弾性波探査という、人の健康診断のエコー検査に似た仕組みで、地質構造や断層などを可視化する技術も用います」
そう語る阿島秀司さんは入社して四半世紀、地熱一筋に歩み続け、地熱水を科学的に評価する専門家だ。J-POWERの地熱発電事業を統括する立場から、国内4地点で進行中のプロジェクトを語る口調に熱気がこもる。
「調査・試掘を繰り返し、ここぞと見定めた地点に掘った井戸から、シューッと蒸気が噴き上がった瞬間。ああよかった、苦労が報われたと、開発チーム全員で喜び合います」
ただし、そこはゴールでなく、発電設備を据え付け、適切に保守管理し、安定して運転するという仕事の、まだ出発点に過ぎない。
「諦めなければ道は拓ける。好きなマラソン同様、粘り腰で挑み続けます」

取材・文/内田 孝

昨年5月に運転開始した山葵沢地熱発電所(秋田県湯沢市)。発電出力46,119kW は、機器設計の工夫などで当初計画よりも約10%増強できた。
40年以上の運転実績を持つ鬼首地熱発電所(宮城県大崎市)。昨春から全面的な設備更新の工事中。
鬼首設備更新工事で実施されている掘削工事の様子。
鬼首に近い高日向山地域では地熱開発に向けた初期調査が始まっている。
2003年にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の受託事業で当社が行った安比地熱(岩手県八幡平市)の噴気試験

PROFILE

J-POWER
火力建設部地熱室
阿島 秀司