電力供給を効率化した最大級の揚水発電所建設
海外コンサルティングヒストリー
プルリア揚水発電計画
インド共和国

インド国での揚水発電所建設
J-POWERは、海外で数多くのコンサルティング事業を展開してきたが、今回はインド共和国で行った全33件のコンサルティング事業のうち、「プルリア揚水発電計画」について紹介する。揚水発電所は、夜間の余剰電力を活用して下ダムの水を上ダムに汲み上げておき、電力需要のピーク時に上ダムの水で発電する仕組み。
このプロジェクトは、日本政府のODA案件として、同国第3の都市コルカタ(旧称:カルカッタ)市の北西約300kmに位置するプルリア地区キストバザール川に、揚水発電所を建設するもの。同発電所が位置する西ベンガル州では、石炭火力が総発電設備出力の約95%を占めており、電力が逼迫するピーク時に対応して発電し、系統全体として発電効率を上げ、供給電圧を安定化させることが目的。出力は、90万kW(22.5万kW×4基)で、同国では現在に至るも最大級の揚水発電所だ。
このプロジェクトに04年7月~07年3月まで関わったJ-POWER国際営業部技術室 髙木慎悟さんにお話を聞いた。髙木さんの在籍期間は、建設工事中盤から、運転開始までに相当する。
工事最盛期は、Jパワーからは土木職4名、電機職3名が駐在。土木職の髙木さんは、主に土木・建築工事の施工監理とプロジェクト管理についての助言・支援業務に従事した。
「工事現場は、コルカタから列車で約4時間、そこから車で約3時間という辺鄙な場所で、周辺に娯楽施設はまったくない環境でした。住居は発注元の西ベンガル州電力公社の寮で、事務所も同公社に間借りしており、多忙な業務、単調な生活でした」
髙木さんは、折りたたみ自転車を日本から持ち込んでサイクリングに行ったりして気分転換していた。さらに、2カ月に一度、休暇を兼ねてタイ国の首都バンコクまで買い出しにいくのも楽しみだったという。


小学校の新校舎建設などで協力
寮と事務所、工事現場という隔離された状態だったため、現地の住民と直接の交流はあまりなかったが、現地に居住する少数民族の小学校の新校舎建設や、同小学校の電化に協力するなどの地域貢献活動も行った。
「インド人は一般的に親切で、日本人には友好的なのは良かった」と髙木さんは語る。
同発電所は、ほぼスケジュール通りに建設が進み、08年1月に全号機の運転を開始した。
現在、インドには稼働中の揚水発電所が5カ所あるが、この内J-POWERは3カ所の揚水発電所の建設に貢献した。
髙木さんは、本プロジェクト後もインド国の首都ニューデリーに駐在したり、現在は次のプロジェクトであるトゥルガ揚水発電計画にも関与しており、「これからもインド国への技術支援に力を注ぎたい」と語った。






