小学生親子向け 水力編@御母衣ツアー

エコ×エネ体験ツアー 水力編@御母衣小学生親子ツアー 2025年ツアーレポート

▼ ツアーレポート
エコ×エネ体験ツアー水力小学生親子編@御母衣

2025年ツアーレポートJ-POWER エコ×エネ体験ツアー
水力編@御母衣小学生親子ツアー

J-POWERの「エコ×エネ体験ツアー水力小学生親子編@御母衣」は、森と水と電気のつながりについて親子で同じ体験をしながら学ぶ人気プログラム。御母衣ダム、御母衣発電所、白川郷の合掌家屋などを見学し、川の源流をめざして朝の森を歩き、実際に川で水力発電の実験を行うなど、親子で体験から学びました。探究心を育む充実の1泊2日旅をレポートします。

ツアー概要:A日程

  • 2025年7月22日(火)、23日(水)
  • 参加者数:16組32名
  • 場所:御母衣ダム・発電所周辺(岐阜県大野郡白川村周辺)

「荘川桜と合掌造り!『水の源流』をたどって学ぶ」御母衣編

1日目スケジュール

  • 御母衣ダムの天端(てんば)を歩く
  • 白川郷・合掌家屋「旧遠山家」にて昼食
  • 御母衣発電所見学
  • トヨタ白川郷自然學校で電気のミニ実験
  • 昔の暮らし解説/電気の話 @合掌家屋(旧下山家)
  • ナイトハイク(A日程は雨天のため中止)
  • 交流会

2日目スケジュール

  • 川の源流ウォーク
  • 水力発電に挑戦!自然の川でダムをつくろう
  • まとめのワークショップ
    ~森と発電所のつながりを学ぶ、楽しい実験~
  • ふりかえり ~2日間の体験をふりかえる時間~
  • 荘川桜で記念撮影

親子が同じ目線で学ぶことを大切にしている本ツアーは、スタッフを含め全員、自分自身が名付けたキャンプネームで呼び合いました。文中ではキャンプネームのままで紹介します。

1日目

バスの中で
「クイズ大会」
ツアースタート!
J-POWERのことやこの地域の特徴を知る時間

集合場所の尾張一宮駅・名鉄一宮駅の改札前ではスタッフの方々が旗を掲げ、笑顔で参加者たちの到着を待っていました。16組32名の親子が全員揃いバスに乗車。ツアーのキャプテン「てるさん」が挨拶し、スタッフひとりひとりが自己紹介をしながらバスに乗り込むと、最初の目的地、御母衣ダムのてっぺん「天端(てんば)」をめざして出発しました。

スタッフが笑顔で参加者たちを出迎えました!
スタッフが笑顔で参加者たちを出迎えました!

車内では電気や森に関するクイズで盛り上がったり、J-POWERがこの地に御母衣ダムと発電所を建設した由来を聞いたり、リラックスして過ごしました。

参加者全員の健康状態をチェック。全員「元気!」
参加者全員の健康状態をチェック。全員「元気!」
参加者全員の健康状態をチェック。全員「元気!」
木の実を当てるクイズで盛り上がりました!
木の実を当てるクイズで盛り上がりました!
J-POWERの発電所は日本全国にいくつあるでしょう? 答えは98か所!日本のみならず、海外の60を超える国と地域でも発電や送変電設備に関する技術協力をしているという話を皆熱心に聞いていました
J-POWERの発電所は日本全国に
いくつあるでしょう? 答えは98か所!
日本のみならず、海外の60を超える国と地域でも
発電や送変電設備に関する技術協力を
しているという話を皆熱心に聞いていました

山奥の高速道路を走りながら、水の流れの向きの境目「分水嶺(ぶんすいれい)」の説明を聞きました。この辺りでは岐阜県のひるがの高原を境に北側の日本海に流れる庄川と、南側の太平洋に流れる長良川に分かれています。落差が大きいほうがダムをつくるのに適していることから、比較的なだらかな南側の長良川よりも傾斜が急な(落差の大きい)北側の庄川にダムが多くつくられました。

御母衣ダムの天端(てんば)を歩くダムの天端を歩いて、ロックフィルダムの壮大さを実感!

地域の特徴やJ-POWERの歴史などを聞いているうちに天端に到着しました。

御母衣ダムの天端。向かって左側にはロックフィル、右側にはダム湖があります。
御母衣ダムの天端。向かって左側には
ロックフィル、右側にはダム湖があります
昼食の後の発電所見学では、このロックフィルダムを下から見上げます。
昼食の後の発電所見学では、
このロックフィルダムを下から見上げます
紺碧に輝く湖水が美しい御母衣ダム
紺碧に輝く湖水が美しい御母衣ダム
天端から見下ろすロックフィルの高さにびっくり!
天端から見下ろすロックフィルの高さにびっくり!
絶景の前で記念撮影
絶景の前で記念撮影

バスの中では、御母衣湖の湖畔に立つ「荘川桜」の話を聞きました。御母衣ダムが建設され、湖底に沈んでしまったこの場所には、人々に親しまれていた大きな桜の木がありました。電源開発の初代総裁高碕達之助氏が、この地域の人々が大切にしていた桜の木を救いたいと考え、当時「移植は難しい」とされていた2本の桜の木の移植を実現しました。

ここで生活をしていた人々の思いを想像しながら、昼食をいただく合掌家屋「旧遠山家」に到着しました。

国指定重要文化財 旧遠山家
国指定重要文化財 旧遠山家
おいしいお弁当をいただいた後は、家屋内を自由に見学しました。囲炉裏を囲んだり、展示資料を読んだり、昔の暮らしについて親子で会話が弾んでいました
おいしいお弁当をいただいた後は、
家屋内を自由に見学しました。
囲炉裏を囲んだり、展示資料を読んだり、
昔の暮らしについて親子で会話が弾んでいました

御母衣発電所見学いつも当たり前のように使っている「電気」がつくられている現場に潜入!

昼食後は御母衣発電所に移動し、赤、黄、青、緑の4つのグループに分かれて見学しました。工事用の資材を運ぶための搬入路トンネルをバスで移動し、ダムの底の発電所内部に到着。御母衣発電所は、電力需要に応じて稼働するピーク調整電源です。近年は天気の良い日の昼間の電気は太陽光発電で賄い、太陽が沈む夕方から夜にかけて水力発電を使うことが多いそうですが、発電機室では大きな発電機が稼働していました。今年の夏は猛暑で、この日もとても暑く、昼間も発電機を動かすほど電力需要が高かったことがわかりました。

全員ヘルメットを被り、安全第一で見学開始。搬入路トンネルを通って発電機室に到着全員ヘルメットを被り、安全第一で見学開始。搬入路トンネルを通って発電機室に到着 発電機室では大きな発電機が稼働していました
全員ヘルメットを被り、安全第一で見学開始。
搬入路トンネルを通って発電機室に到着、
発電機室では大きな発電機が稼働していました

次は、発電機室の下のフロアへ移動し、水車と発電機をつなぐ回転軸が実際に回っているようすを見学。重厚で狭い室内に、慎重に親子1組ずつ案内してもらいました。水車ピットの大きさ、室内に響く音の大きさに驚きながら説明に聞き入っていました。

子供たちは解説に熱心に耳を傾け、配布された「見学・体験ガイドツアーシート」に書き込んでいました
子供たちは解説に熱心に耳を傾け、
配布された「見学・体験ガイドツアーシート」に
書き込んでいました
水車と発電機をつなぐ回転軸
水車と発電機をつなぐ回転軸
水車ピット内の音はとても大きく、重みを感じました水車ピット内の音はとても大きく、重みを感じました
水車ピット内の音はとても大きく、
重みを感じました

ここでは最大毎秒約130トンの水を利用して発電を行っており、これは、学校のプール(25m×12m×1.2m=360トン)が約3秒で満杯になる量。発電機は1分間に225回転し、2台の発電機で最大21万5千kW(キロワット)の電気をつくることができます。

再び発電機室に戻るとトヨタ白川郷自然學校(以下、自然学校)の「ある」が待っていました。今見てきた「まわる」作業を人がやってみると、どのくらいの力が必要なのか、体とボールを使って体験しました。子供と大人に分かれて円陣を組み、パスでボールをまわしましたが、目標の回数1分間225回にはまったく届かず…。人の力よりもはるかに大きい、水の力を感じることができました。

水車を回転させるためには大量の水と流れ落ちる高さが必要。体を使ったボール回しゲームから重厚な水車発電機を動かす「水力」を想像しました水車を回転させるためには大量の水と流れ落ちる高さが必要。体を使ったボール回しゲームから重厚な水車発電機を動かす「水力」を想像しました
水車を回転させるためには大量の水と流れ落ちる高さが必要。体を使ったボール回しゲームから
重厚な水車発電機を動かす「水力」を想像しました

さらに、エコ×エネ体験ツアーお馴染みの博士「ドクター」によるペットボトルを使った水力発電の実験も行われました。ペットボトルに入れた水を勢いよく流すと、ホースの先に取り付けられた水車発電機が回転。コイルの中の磁石が回転し、電磁誘導によって電気がつくられ、ライトが点灯しました。今まさに電気をつくっている現場で、水力発電の仕組みを手元で確認することで、より理解を深めているようすでした。

雲ができて雨が降り、たまった水を勢いよく落とすと、水車発電機が回転。コイルの中の磁石が回転し、電磁誘導によって電気がつくられ、ライトが点灯!
雲ができて雨が降り、たまった水を
勢いよく落とすと、水車発電機が回転。
コイルの中の磁石が回転し、電磁誘導によって
電気がつくられ、ライトが点灯!

見学を終えて、インクライン(専用のケーブルカー)に乗車。インクラインの長さは223m。22度の急勾配を約3分かけて登り地上に戻りました。

発電所内ならではの細いケーブルカー車両
発電所内ならではの細いケーブルカー車両
急勾配にあわせて車内の座席は階段になっています急勾配にあわせて車内の座席は階段になっています
急勾配にあわせて車内の座席は
階段になっています

昼食前に天端から見下ろしたロックフィルダムを、今度は下から見上げました。堤高(高さ)131メートル、堤高長(天端の長さ)405メートルのロックフィルダムは、この地の岩石や土砂を積み上げてつくられました。大人も子供も熱心に解説を聞き、積み上げられた石の形や、ロックフィルダムの角度を確認し、圧倒的なスケールのダムを目に焼き付けていました。

まるでピラミッドのようなロックフィルダム
まるでピラミッドのようなロックフィルダム
ロックフィルダムの角度は何度?
ロックフィルダムの角度は何度?
ロックフィルダムの角度は何度?
壮大なスケールの御母衣ダム
壮大なスケールの御母衣ダム

設備の見学の後は、MIBOROダムサイドパークに移動。発電所内部やダムについてわかりやすく示したジオラマを見ながら御母衣電力所 藤原所長の解説を聞き、子供たちは情報を整理しながらメモを取り、大人も子供といっしょに復習しました。

地図とジオラマで位置を確認、模型で仕組みを復習。御母衣ダムができるまでの歴史と、荘川桜をめぐる物語を映像で鑑賞しました
地図とジオラマで位置を確認、模型で仕組みを
復習。御母衣ダムができるまでの歴史と、
荘川桜をめぐる物語を映像で鑑賞しました
御母衣ダム・発電所の見学証とダムカードをいただきました!御母衣ダム・発電所の見学証とダムカードをいただきました!
御母衣ダム・発電所の見学証と
ダムカードをいただきました!

トヨタ白川郷自然學校で
電気のミニ実験と夕食
発電所で学んだことを復習した後はディナータイム!

自然学校にチェックイン後は、記憶が新しいうちに、電気の仕組みを、手を使って理解する時間。手回し発電機のハンドルを手で回し、電気が灯る瞬間を確認。白熱球よりもLEDのほうが回す力が要らず、楽に点灯することがわかりました。

白熱球よりもLEDのほうが省エネであることを体感
白熱球よりもLEDのほうが
省エネであることを体感
皆すっかり打ち解けたようすのディナータイム
皆すっかり打ち解けたようすのディナータイム
自然学校での夕食はフランス料理! 美しく、おいしいコース料理をいただきました
自然学校での夕食はフランス料理! 美しく、おいしいコース料理をいただきました
自然学校での夕食はフランス料理!
美しく、おいしいコース料理をいただきました

昔の暮らし解説/電気の話
@合掌家屋(旧下山家)
昔の人の暮らしの知恵から、今の電気のありがたさを実感

夕食後、自然学校内にある合掌家屋「旧下山家」に集まり、電気のなかった昔の暮らしの解説や、電気の話を聞きました。部屋の電気を消し、皆で囲炉裏を囲み、小さなろうそくの明かりのもとで、自然学校スタッフの「ある」が昔の暮らしの知恵について解説したり、木材を手に取り、「囲炉裏で使われていた木材はどれでしょう?」とクイズを出題したり、親も子も一緒に学びました。屋根裏では自然学校のスタッフ「リンリン」が合掌家屋の特徴について説明してくれました。

自然学校の敷地内にある「旧下山家」
自然学校の敷地内にある「旧下山家」
合掌家屋では囲炉裏の火を絶やさず、煙のヤニやススが屋根を腐食や害虫から守る役割を果たしていました。密度が高く重い木は薪に適し、長く燃えるという昔の人の知恵を学びました
合掌家屋では囲炉裏の火を絶やさず、
煙のヤニやススが屋根を腐食や害虫から守る
役割を果たしていました。
密度が高く重い木は薪に適し、
長く燃えるという昔の人の知恵を学びました
「リンリン」は、合掌家屋の「合掌」は人が手を合わせる形から名付けられたこと、屋根には釘が使われておらず「マンサク」という木の枝を使って屋根組が結ばれていること、屋根裏の構造を生かし養蚕が盛んに行われていたことなどを説明してくれました
「リンリン」は、合掌家屋の「合掌」は
人が手を合わせる形から名付けられたこと、
屋根には釘が使われておらず
「マンサク」という木の枝を使って屋根組が
結ばれていること、屋根裏の構造を生かし
養蚕が盛んに行われていたことなどを
説明してくれました
電気のない暮らしを想像した後は、明るい室内で「電気」の大切さを考える時間。今朝起きてから使った電気を思い出し、電気の便利さ、ありがたさを感じているようすでした
電気のない暮らしを想像した後は、
明るい室内で「電気」の大切さを考える時間。
今朝起きてから使った電気を思い出し、
電気の便利さ、ありがたさを
感じているようすでした

交流会すっかり仲良くなった皆でエコ×エネかるた大会!

夜の交流会ではグループ関係なくテーブルごとに集まり、J-POWERオリジナルの「エコ×エネかるた」で遊びながら今日1日の知識を復習していました

恒例の「エコ×エネかるた」で白熱のバトル!
恒例の「エコ×エネかるた」で白熱のバトル!

1日目終了後インタビュー

「みずき」さん&「まっちー」さん親子

「みずき」さん&「まっちー」さん親子
  • ダムや水力発電所という巨大構造物の中に入れる機会はめったにないので申し込みました。実際に見学して、戦後の厳しい時代にこれほど壮大なものを築き上げたのかと深い感銘を受けました。とても貴重な体験でした。(「みずき」さん)
  • 水車ピットで回転軸が回転するところを間近で見たことがいちばん印象に残っています。音がとても大きくて高速で回転しているのでスゴイ! と思いました。見学する前と後では電気のことを思う気持ちが変わって、より電気を大事にしなければと思いました。(「まっちー」さん)

「みかん」さん&「りんご」さん親子

「みかん」さん&「りんご」さん親子
  • この土地の岩石を利用してロックフィルダムがつくられたこと、長持ちする薪を選ぶという昔の暮らしの知恵など、知らないことばかりでした。今使っている電気を誰かがつくっていることを感じながら電気を大切にしていきたいです。(「みかん」さん)
  • 水力発電だけでなく火力発電など、いろいろな発電の良いところや環境に悪いところなども学ぶことができました。発電機の回転の速さが思った以上に速く驚きました。使わない部屋の電気は消したり、日中は外の光を入れたり、日ごろから電気を大切にしたいです。(「りんご」さん)