< ツアー概要 >
- 日程:2022年8月9日(火)・10日(水)計4回開催
- [A]2022年8月9日(火)9:30~12:00
- [B]2022年8月9日(火)14:00~16:30
- [C]2022年8月10日(水)9:30~12:00
- [D]2022年8月10日(水)14:00~16:30
参加者数:延べ127組約254名の親子
場所:オンラインにて開催
小学生親子向け 水力編@奥只見
日本の電源を開発しているJ-POWERが2007年に始めた「エコ×エネ体験プロジェクト」は、環境とエネルギーの共生を目指して取り組む活動です。2022年のエコ×エネ体験ツアー水力小学生親子編は昨年に続きオンラインで開催され、バーチャル映像によるダム・発電所見学や森の体験、科学実験など盛りだくさんの内容になりました。日本各地から集まった小学生親子が一緒に、森・水・電気のつながりを知りながら楽しいひと時を過ごしたオンラインツアーのようすをレポートします。(このレポートでは午後の回を例に振り返ります)
参加者数:延べ127組約254名の親子
場所:オンラインにて開催
J-POWERの「しげさん」の挨拶では、エネルギーと環境の両方を大切にする心をもった人たちが増えるようこのプロジェクトに取り組んでいること、さまざまな専門性をもったパートナーと一緒にプロジェクトを運営していること、そしてコンセントの向こう側がどうなっているのかを、みんなで一緒に関心をもって楽しんで学ぶ大切さが伝えられました。
続いて「リアクション体操」です。「いいね!」「OK」、手話を使った「拍手」などのリアクションを表現する方法やカメラと音声のオン・オフを確認しました。オンラインでは積極的なコミュニケーションがとても大切です。
J-POWERでは水力・火力・自然エネルギーなど、さまざまな方法で電気を作っています。今回のオンラインツアーでは、岐阜県の御母衣(みぼろ)と新潟県の奥只見(おくただみ)を訪れました。
御母衣ダムと発電所は佐々木御母衣発電所所長が案内します。御母衣ダムは高さが131m、堤防の長さは405m、体積は795万立方メートルで東京ドームの6杯分以上あります。
御母衣ダムは岐阜県北部を水源とした庄川をせき止めて作られました。ダム湖の面積は8.8平方キロメートル、総貯水量は3億7千立方メートルと東京ドーム約300杯分の水量です。岐阜県は高知県に次ぐ全国2位の森林面積率79%と森の保水力も高く、冬は雪も多いため水力発電所に適した気候条件です。庄川水系にある水力発電所の最大出力合計は、原子力発電所1基分に相当する100万kW超となっています。
発電には、水車を回すために水の落差によって生じる力が必要です。そのため発電する設備は、ダムの地下にあります。
ダムの左岸地下にある発電機室には2台の発電機があります。発電機の中にはローター(電磁石)とステーター(コイル)が入っていて、回転軸で水車とつながれたローターが1分間に225回転という高速回転で回転して電気を作り出しています。
「MIBOROダムサイトパーク」では、ロックフィルダムや発電設備の仕組みがわかります。なぜこの地にダムが作られたのでしょうか。東海北陸自動車道、ひるがの高原サービスエリアの近くに、「分水嶺(ぶんすいれい)」と呼ばれる太平洋側と日本海側に分かれる水の流れの境界線があります。この南側は長良川、河口付近では木曽川となって太平洋に流れこみ、北側は庄川となって日本海に流れこんでいます。
御母衣ダムは中心部に遮水壁(しゃすいへき)と呼ばれる粘土で水が漏れるのを防止し、その上に小さな岩、表面部には大きな岩石を用いて遮水壁の粘土が流れ出るのを抑える「ロックフィルダム」という仕組みになっています。最大21万5,000kWの電気が作り出され、おもに関西方面で使用されています。
御母衣ダムの地域には、かつて荘川村中野地区の合掌造りの集落と穀倉地帯が広がっていました。J-POWER(当時の電源開発)の高碕初代総裁は、ダムの建設で水没する樹齢400年の桜の木を見て移植を指示しました。
続いて「ドクター」が「電気ができる仕組み」を、しゃかしゃかライトを用いて実験しました。
ここでツアー前に親子で調べた「自宅にあるコンセントの数」を発表しました。
「おのの」は、電気の速さが1秒間で地球を7回半まわる光の速さと一緒であること、今使っている電気は、今この瞬間に発電している電気であること、電気は今、本当に身近なものになっていることを伝えました。では電気がなかった時代の人々はどうしていたのでしょうか。
御母衣発電所の下流にある「白川郷」では、今も昔ながらの暮らしや文化が残っています。
合掌家屋にある囲炉裏(いろり)は、電気がない時代に寒い冬をしのぐため、薪(まき)を使って火を起こして温まり、家族で集まり話をする場所でした。薪は森から切り出した木を割って2年ほど乾燥させたもの。こうした薪には、そこそこの火力で長くゆっくり燃える種類の木が適しています。ここで「ある」は、針葉樹のスギと広葉樹のミズナラの薪を用意し、囲炉裏の薪に適している木はどちらかを実験しました。
ミズナラは繊維がぎっしりと詰まって重く、そこそこの火力でもゆっくり燃えるので火加減も調節しやすく、囲炉裏の薪に適しています。切り株から芽が伸びて大きくなる「ひこばえ」という伸び方をするので種から芽吹くよりも早いサイクルで成長します。そのため電気の無い時代の、まさに持続可能なエネルギー源でした。また昔は夜の明かりに「ろうそく」を使用していましたが、現在、目にするものとは異なり、植物の髄で作った芯とハゼなどの木の実を絞った“ろう”で作られた「和ろうそく」でした。
「おのの」は「昔はエネルギーを作る人と使う人は一緒でしたが今は別々です。電気をたくさん使う今は発電所で作ってくれるので、使いたいときにすぐに電気を使うことができる。そのため電気は当たり前のようにあるものと思ってしまいがちです。昔の人は自分が必要な分だけ森からもらって大事に使っていました。今の私たちも自分が使うときに、作る人たちがいることを忘れずに、大事に使えたらと思います」と話しました。
エネルギーを知る御母衣ダムと昔の暮らしの体験のあとは、エコロジーを知るために奥只見へ向かい、森の体験やドクターによる「電気ができる仕組み」の実験へ!