大学生向け 水力編@奥只見ツアー レポート

エコ×エネ体験ツアー 水力編@奥只見学生ツアー 2022年ツアーレポート

▼ ツアーレポート
2022年8月31日(水) 2日目
AM 9:40

グループに分かれて行動化に向けたディスカッション!

学生だけで行うディスカッションは「未来」「変化・変容」「関わり・つながり」「公平性」「主体性」の、5つのグループに分かれて行われました。

まずは再度、グループで持続可能な社会を言い換えて、次にその社会をどう実現するのか具体的なアクションを導き出していきます。主語は「私、私たち」です。
まずは再度、グループで持続可能な社会を言い換えて、次にその社会をどう実現するのか具体的なアクションを導き出していきます。主語は「私、私たち」です。

グループディスカッションを覗くと、Zoomのホワイトボードを共有しながら議論のプロセスをまとめるチーム、思い込みを超えて新たな視点を加えるチーム、考え方を否定せずに疑問を解消しながら深めるチーム、言葉の定義を確かめながら議論を進めるチーム、経験を聞き合って共感できる言葉に結びつけるチーム等があり、議論に真摯に向き合うようすが見られました。

2日目 | 13:00

持続可能な社会の実現に向けて具体的な行動に結びつける!

グループによるディスカッションで導き出された、こうなったら良いという持続可能な社会と、その社会の実現に向けた具体的な行動を発表しました。

「未来」グループ

私たちの子供、孫の世代にバトンをつなぐ「リレー社会」を導き出しました。自分たちには利益はなくとも次世代にバトンをつないで選択肢を1つでも増やすのがリレー社会のコンセプトです。そして自分たちが次世代に残したいものを具体的に列挙しました。歴史や文化、自然、海や森、木や川、生き物たちなどが見られました。残すための具体的な行動は、「ゴミは自然に捨てない」「家でも外でも食べ残しをしない」「買うものがどんな素材かを知る」「街づくりの開発計画にワークショップを通して市民から意見を出す」「土に還るものを使う」「DIYで木製の本棚を作る」「自然を大切にする気持ちを育むために自然で遊ぶ」等が発表されました。

ツールを活かして議論をまとめあげた「未来」グループの発表のようす
ツールを活かして議論をまとめあげた「未来」グループの発表のようす

「変化・変容」グループ

まず「変化・変容させ続ける、または、しやすい社会」は「より良い社会」と「変なアイデアが出せる社会」の2つあるとしました。「より良い社会」へは課題を見つける力が重要で、見つかれば具体的な行動が生まれます。そのためには個人によるインプットが重要と考えました。「変なアイデアが出せる社会」を実現するには、意見が否定されない安心感のある環境作りが重要で、ここでは沈黙して考える時間を認めるという意の「TQ、Thinking Quiet」という新たな言葉が発案されました。また否定されない環境を作るために、肯定フレーズをリスト化。日常的に実践できる言葉が数多く並びました。

言葉の持っている力を通して行動化へのきっかけを捉え、議論の中から「TQ」という言葉が生まれました。
言葉の持っている力を通して行動化へのきっかけを捉え、議論の中から「TQ」という言葉が生まれました。

「関わり・つながり」グループ

議論から「ネットワーク型エコロジー社会」に集約しました。人と人の思いをつなぐことをネットワーク型と称して、自然との調和を求める社会を目指していく社会です。この社会の実現を目標にアクションやプロセスを検討しました。具体的なアクションは「環境教育や産官学連携」「市民団体に入る」「SNSによる発信」「環境教育を行うための場作り」「地域を知る」の5つが並びました。そのプロセスでは、エコ×エネ体験プロジェクトのような環境のプログラムに参加して一歩を踏み出し、そこで学んだことをSNSで発信して人脈を広げ、最終的な目標には自ら環境教育ができる人材になることが掲げられました。

自らが環境教育を実践できるよう行動すると結論付けました。
自らが環境教育を実践できるよう行動すると結論付けました。

「公平性」グループ

メンバーの共通した思いを「すべての人が心身ともに健康で安全に暮らせる社会」に集約しました。その社会を実現するための行動は、課題発見と分析レポートの2つ。課題を知るためには、インターネット等で正しい情報を得る、社会支援をしている機関のセミナーや大学のSDGsの講義参加といった例があげられました。また不公平な現場があることを伝える分析レポートを作成し行政などに提出することも挙げられました。さらに認知を広げるために、とっつきやすさを考えてSNSで漫画を公開する案も出ました。対話も重視され、実際に地域や学校のお祭りでカフェを出店、そこで地域の方たちの交流の場やお悩み相談室を開設するといった具体案も出てきました。

公平性に真摯に向き合いながら、地域などのコミュニティに参加する行動へと話は進んでいきました。
公平性に真摯に向き合いながら、地域などのコミュニティに参加する行動へと話は進んでいきました。

「主体性」グループ

言い換えたのは「愛がつながる社会」です。発信を主体的にするには教育が基盤だと考えました。理想の教育者像は「愛」をもって接する人で、そうした人から教われば、また自分も「愛」をもって教える好循環が生まれ、持続可能な社会は実現するとしました。さらに教育の在り方を思考。受ける側の求める教育者は面白い、楽しい、あるいは人柄に惹かれるなどの特徴があるとし、理系・文系の知識をバランスよくもち、成功や失敗の経験もある、考える機会を奪わない人材が望まれるとしました。教育者には人望や愛、人間力が必要で、その人間力の醸成には「馬鹿な経験を真面目にできる」「発信力をもつ」といった具体的な行動が重要であると帰結しました。

愛をつなぐ教育へ。馬鹿な経験にも真剣に取り組むことで人間力は高められると考えました。
愛をつなぐ教育へ。馬鹿な経験にも真剣に取り組むことで人間力は高められると考えました。
2日目 | 14:25

学生時代に必ず取り組む!「エコ×エネ宣言」

グループの発表を受けてドクターから学生にメッセージがありました。アフリカの水問題を解決するポンプ設置を例に、良かれと思ったことが地域や習慣などさまざまな要因で実は正反対のことになる場合もあると語りました。「これから取り組む中で、考えが受け入れられない場合、その原因はどこにあるのか、もしくは自分たちの考え方と地域の習慣などをいかにすり合わせる必要があるのか、踏み込んでアプローチをしてほしいと思います。すぐにあきらめるのではなくコミュニケーションを取りながら、その地域に応じた、より良いものを作ることが必要です」(ドクター)。

続いて学生ひとりひとりによる「エコ×エネ宣言」です。持続可能な社会を作るために卒業まで必ずやること(取り組むこと)を発表していきました。ユニークなものでは「バイクで西日本一周、改善すべきことを漫画化」「言葉で伝えることをあきらめない」「50人と出会って痩せる」「ゴミ拾いをしている市民団体に所属!」「青春18切符を使う」などがありました。おののは、エネルギーという言葉には「力のもと」「元気」「行動する力」といった3つの意味があると紹介しました。そして、おわりの会では、シゲさんから基本コンセプトの1つである「学び合い」の場が本当に大切であると再認識したという振り返りがありました。

2日目終了後も3名の学生たちにお話を聞きました!

「自分の力で人を笑顔にできる力をつけたい」たなひなさん

子供のころからスポーツが好きで、人を笑わせることも好きでした。大学はスポーツ科学部に進みましたが、このツアーではあえて違う分野の人との関わりを求めて参加しました。グループセッションのアウトプットでは参加前よりもエコやエネルギーが身近なものに感じられました。またSDGsの目標は、ひとりひとりの思いがあって解決できることだと学べました。今の目標は50人に感謝しながら出会うことです。来年からはおもちゃを作る仕事に就きます。将来は人を笑顔にできる力を付けていきたいです。

たなひなさん
たなひなさん

「日本中どこにでも行ける新幹線に携わりたい」リキッドさん

子供のころの夢は建築家でしたが、高校生の時に東京の万世橋の美しさに惹かれてダムやトンネル、鉄道に興味をもち土木工学科に進みました。J-POWERの鳥羽瀬さんの建設マネジメントの講義を受けて、このツアーを紹介いただきました。葉っぱっぱじゃんけんでは、大学付近の自然に触れて葉を探し楽しかったです。またレポートで取り組む日本のエネルギー構成の発信方法を、このツアーでは得られました。まずは青春18切符を使って日本各地に出向き問題に向き合います。将来は四国新幹線や西九州新幹線の夢の実現に携わりたいです。

リキッドさん
リキッドさん

「将来は土の上で仕事をしたい」ゆいべさん

家の裏に山があり、森に興味をもちながら育ちました。その山が台風で土砂災害に見舞われ今も林道が完全に復旧していません。それをきっかけに大学は森林科学科に進みましたが、学ぼうとした砂防の先生が今年退官され、新しい視点を求めてツアーに参加しました。ドクターが技術の実用化のため、地域の方を課題解決に巻き込む姿が強く印象に残りました。SDGsでは各目標が関わり合っていて自分の捉え方が変わりました。まずはゴミ拾いをする市民団体に入って課題を見つけ、将来は林業や農業など土の上で働きたいと思います。

ゆいべさん
ゆいべさん

今回の「エコ×エネ体験ツアー」では、過去に火力編を体験した学生や所属している大学の友達・先生・家族に参加をすすめられた学生がいるなど、エコ×エネの輪がさらに広がっていました。解のない問いをディスカッションする学び合いの場は、ひとりひとりが所属する学校や地域、国、リアルとオンラインという境界線を超えて、これからもつながっていきます。エコ×エネ体験プロジェクトでは、これからも「エコ×エネカフェ」や「エコ×エネ体験ツアー火力学生編」「水力学生編」を用意しています。そして参加後のひとりひとりの小さな行動が、さらに大きなエコ×エネの輪となっていくことを願っています。

ここでの出会いが未来につながります。またどこかで!
ここでの出会いが未来につながります。またどこかで!
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