桜の花の塩漬け(神奈川県秦野市)
「音のソノリティ」を詠む
花を摘む手も花として数えつつ花と花、手と手重なり合えり
歌人 小島 なお
ぱちん、はさはさ。ぷつ、ふさふさ。軽やかに茎をちぎる音と量感のある花びらの重なる柔らかい音が交互に聞えてくる。
神奈川県秦野市。「八重桜の里」として知られる千村(ちむら)地区は、江戸時代から続く桜の花の塩漬けの産地。4月中旬頃になると塩漬けにするための桜の摘み取り作業が始まる。1週間ほどで1年分の出荷量を摘み取る。塩漬けに使う桜は観賞用とは別に栽培され、地区内の至るところに点在するという。現在でも昔からの製法が受け継がれ、摘み取られた桜はゴミ取りや選別ののち塩や梅酢で漬け込み、約1カ月で完成となる。
花を摘む手首のしなやかなスナップ。八重の花びらのゆたかな感触を内側に包み込むように摘んでゆく。いつしか花と手のひらが交ざりながら温かそうに重なり合う。
※「音のソノリティ」第1083回放映「桜の花の塩漬け」を観て詠んでいただいたものです。J-POWERグループは神奈川県で磯子火力発電所を運営しています。


PROFILE
こじま なお
東京都出身。2004年、角川短歌賞受賞。2007年、第一歌集『乱反射』により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2025年12月、第四歌集『卵降る』刊行。居合道三段。
音のソノリティ 世界でたった一つの音
J-POWER は、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。
日本テレビ系列 毎週日曜日 20:54 ~ など

