脱炭素への事業ポートフォリオ転換に挑む
United States of America
J-POWER USA Development Co., Ltd.
Global J-POWER ―世界とともに―
戦略的な再エネへの転換を実施
J-POWERが掲げる〝BLUE MISSION 2050〞。2050年のカーボンニュートラル達成に向けた、この長期戦略目標に米国の現地法人J-POWER USA Development Co., Ltd. (以下、JPUSA)も挑戦中だ。同社でSecretary and Treasurer(総務兼財務担当役員)を務める鈴木 悠人さんに話を聞いた。
「JPUSAが今、注力するのが、2026年11月の営業運転開始を目指してテキサス州南部で建設が進むチャージャー太陽光発電所です。JPUSAが初めて単独で開発する大規模太陽光発電所で、完成時の交流出力は39.4万kWに達します。これは全米の太陽光発電所の中でトップ20に入る規模です。これにより、年間約58.5万トンのCO2削減に貢献する見込みで、脱炭素への大きな一歩となります」
同社が設立された2005年頃は、米国全体で石炭火力発電が設備出力の約4割を占めていたが、2000年代後半のシェール革命が風向きを変えた。天然ガスの価格が下がり、ガス火力発電が主流となる中、同社もガス火力中心の発電事業を行ってきたが、〝BLUE MISSION 2050〞に沿う形で、11カ所あった既存のガス火力アセットのうち8カ所を売却し、再生可能エネルギー(以下、再エネ)へのトランジションを戦略の柱へと据(す)え直した。その第一歩がチャージャー太陽光発電所だ。
電力業界のビジネスチャンス到来
「米国では今、AI需要の急増にともない、東部から中西部地域を中心にデータセンターの建設ラッシュが起きています。これらの施設は24時間大量の電力を消費し稼働するため、電力需要を大きく押し上げる要因となっており、電力供給力の確保や送電インフラ整備を含め、電力業界に大きなビジネスチャンスをもたらしています」
こうした需要増加に対応するため、米国では再エネの導入拡大に加え、ガス火力を中心とする化石燃料発電や原子力発電の活用・新設も含めた、様々な電源の開発が進められている。
「JPUSAとしてはガス火力アセットの売却で得た資金を太陽光を中心とした再エネ開発に再投資していく。この基本方針を維持しつつ、あらゆる選択肢を排除せず、柔軟に対応していきます」
同社は再エネ開発を推し進めつつ、ガス火力の運営も継続する。そのうちのひとつが、シカゴ近郊で2022年に稼働したジャクソン火力発電所だ。同社が単独で開発・建設したこのガス火力発電所は、最新鋭の発電設備により高い発電効率を誇ると同時に、高い稼働率を維持し、JPUSAのアセットポートフォリオの一翼を担っている。
同社は今、次なる投資への機会をうかがっている。
「特に近年、米国の電力をめぐる政策や市場の状況変化のスピードは非常に速くなっています。時機を逸すると数百・数千億ドルの機会損失につながる一方、拙速な判断も避けなければなりません」と語る鈴木さん。彼は現場の情報を精査し、日米双方が適切な判断をするための戦略的な橋渡しを担う。迅速な決断と柔軟な対応力、JPUSAはその両輪で米国の巨大電力市場に挑戦し続けていく。

