インドのサリーをアップサイクル
中川 雅里名

Venus Talk

エシカリージャパン合同会社 代表  中川 雅里名

サンスクリット語で「細長い布」を意味するサリー。
そのサリーのアップサイクル商品を日本に紹介しているのがエシカリージャパン合同会社代表の中川雅里名さんだ。
インドサリーの魅力とは? 現地の女性職人と日本をつなぐエシカルなものづくりとは?
中川さんの心熱く、ひたむきな挑戦に迫る。

取材・文/ひだい ますみ
写真/吉田 敬



インドの国民的衣装であるサリーのアップサイクルブランド「I was a Sari」の日本展開を手掛ける中川雅里名さん。夫の転勤に伴って渡印し、色彩豊かなデザインのサリーに魅了された。

「マーケティングを仕事にしていたので、新しいものを探す癖がありました。サリーのアップサイクル商品にピンときたのです」

その翌日には、現地のイタリア人デザイナーに連絡を取り、直接交渉。日本でのマーケティングや販売の契約を取り付けた。その後、工場で働く女性とともに時を過ごし、日本市場に受け入れられそうな布やプロダクトラインを厳選。中川さんはエシカル(搾取せず、公平で社会貢献的)なものづくりを強く意識するようになった。

「女性職人の表情がみるみるうちに変わりました。自分で働いて得たお金で子どもを学校や病院に行かせられることが、自信やプライド、生きがいになるのだと、その社会的意義を実感しました」

ただし、中川さんは真にエシカルであるためには、商品に魅力がなければならないと考えている。

「お客さまには『公平につくられた商品だから』、『社会貢献だから』ではなく、『かわいい! 欲しい!』と感じて、お気に入りを選んでいただきたいです」

現在、関東の百貨店のポップアップストアや常設店でバッグ、ノートなど13種類のアイテムを展開中だ。

今後も、エシカルな良い品を全国に紹介したい――。自らを「猪突猛進型」という中川さんの情熱と勢いは止まらない。

クラッチバッグ、ワインバッグ、ブックカバーなど、サリーの布地を活かした色彩豊かな商品のほか、ココナッツ由来の素材を用いたオリジナルブランドも展開(never leather キーケース、文庫本カバー)。
サリーは長さ5~8m。素材は、ミックスファイバー、ポリエステル、コットン、シルクなど様々。中川さんも「色も模様も多様で、本当にかわいい!」と太鼓判を押す。
現地スタッフと話し合いを重ねながら、よりよいシステムや環境を整えていく。
「I was a Sari」の工場では、女性職人約250人が活躍。「自信を持って人生を謳歌していく姿が見られるのがうれしい」と中川さん。

PROFILE

エシカリージャパン合同会社代表  中川 雅里名

なかがわ・まりな
1987年、栃木県生まれ。獨協大学外国語学部卒業後、教育関連企業を経て南アフリカ共和国へ社会人留学。初等教育支援のNGO 活動に携わる傍ら、外資系出版社や貿易マーケティング会社に従事。2年間のインド生活を経て、2023年4月、「世界と日本をエシカルでつなぐ」をミッションとするエシカリージャパン合同会社を設立。製品の企画から輸入・製造・小売、教育業を展開。『あなたのおかげで僕があるーインドの元ストリートチルドレンの半生』翻訳者。