先生方へ

エコ×エネ オンラインワークショップ 教師編 2022年ツアーレポート

1. 実施概要

先生方のための
オンラインワークショップ

マシンガンズ 滝沢秀一さんから学ぶ
ゴミから考えるSDGs
~自分の生活から出来ることを考えよう~

マシンガンズ 滝沢秀一さん
  • 日時:2022年1月26日(水)19:00~21:30
  • 講師:マシンガンズ 滝沢秀一氏
  • 対象:小学校・中学校・高等学校の先生  当日参加26名
  • ツール:Zoom
主なコンテンツ:
  • 滝沢さんのワークショップ
    お笑い芸人として活躍する傍ら、ゴミ清掃員として働く滝沢さんから、ゴミ収集の日常から見えてくる社会課題や食品ロス、SDGsについて学ぶ
  • 学校現場からの事例紹介
    滝沢さんの講演会を実施した小学校の秦さやか先生からの実践事例紹介
  • エネルギー・環境問題の最新動向
    第6次エネルギー基本計画や、COP26などを踏まえたエネルギーに関する最新情報や、カーボンニュートラルにむけたJ-POWERの取り組みを紹介
  • 校種や地域を超えた先生方とのグループセッション

今回のエコ×エネ オンラインワークショップ 教師編には、平日の夜にも関わらず26名の先生方にご参加いただきました。
ゲスト講師はマシンガンズの滝沢秀一さん。お笑い芸人として活躍する傍ら、現在もゴミ清掃員として働く滝沢さんが、ゴミ収集で出会った実体験を写真を交えてお話くださいました。 また、滝沢さんの講演会を開催した小学校の秦さやか先⽣が、講演後に実践した取り組み事例を紹介。参加者はグループに分かれて、授業にどのように取り入れられるかを考えました。

スケジュール
19:00~
開会・主催者挨拶
19:05~
ワークショップ
マシンガンズ 滝沢秀一さんから学ぶ 「ゴミから考えるSDGs ~自分の生活から出来ることを考えよう~」
20:00~
小学校での事例紹介
杉並区立西田小学校 秦さやか先生
20:10~
グループセッション・全体共有
20:40~
J-POWERからの情報提供
20:55~
質疑応答・意見交換
21:25~
主催者挨拶・閉会

2. レポート

マシンガンズ 滝沢秀一さんから学ぶ
ゴミから考えるSDGs
~自分の生活から出来ることを考えよう~

マシンガンズ 滝沢秀一さんから学ぶ

ワークショップのはじめに、滝沢さんから先生方に質問を投げかけました。「ゴミは何種類あると思いますか?」先生方の答えはさまざまに分かれましたが、意外にも滝沢さんの答えは2種類。「ゴミ」と「資源」という回答でした。
先生方に、学校の中で地域のゴミに関する教育「ゴミ育」を行ってほしいという熱い想いを伝えながらワークショップ開始です。

滝沢さん
【ゴミ回収の現場から】

まずは、滝沢さんが実際にゴミ収集で出会った例が、たくさんの写真とともに紹介されました。集積所に分別されずに捨てられたペットボトル、大量に捨てられた綺麗な衣服、封を切られていない食品や高級な果物など、驚くような事例ばかり。
そして、日本国内の最終ごみ処分場はあと20年で埋まってしまいゴミを捨てられなくなることと、その後どうするかまだ決まっていないという事実が伝えられると、先生方も深刻な表情になりました。

日本国内の最終ごみ処分場はあと20年で埋まってしまいゴミを捨てられなくなる
【ゴミは世界とつながっている】

滝沢さんは、ゴミを集めていると「世界とのつながり」を感じるそうです。
たとえば、ペットボトル。
マイクロプラスチックは遠い海の問題と思われがちですが、ペットボトルは街の集積所から川を流れて海に出ている可能性が高く、実は私たちの生活と密接に関係している問題であると指摘します。

ゴミは世界とつながっている

つぎに、ファストファッション
洋服を作るためには材料の栽培や染色の段階で大量の水を使用し、さらに、燃やして処分すれば二酸化炭素を排出します。 また、リサイクルしているようでも、発展途上国で埋め立てられて環境汚染につながっているケースもあります。
学校の先生は、「教育を通じ世の中を変えられる一番の存在」だとして、ぜひ子ども達にフェアトレードの知識を広めてほしいと訴えました。

ぜひ子ども達にフェアトレードの知識を広めてほしいと訴えました

最後に、食品ロス
日本の食品ロスは570万トン。世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量の約1.4倍を捨てながら私たちは生きていることを知り、「有るもので賄うこと」や、「顔が見える生産者から買うこと」などが提案されました。
また、一人の活動には限界があるため、仲間や賛同者を増やして取り組むことも重要なポイントです。

日本の食品ロスは570万トン
【滝沢さんの考えるSDGs】

SDGsは、実現できていないからゴールが設定されたということ、つまり世界には17個の課題があると、滝沢さんは捉えているそうです。
私たちには何ができるか、自分ごととして考えるためにいくつかの具体的な提案のあと、最後に「皆さんは目の前のごみがなくなればいいと思っていませんか?」と先生方に再び問いかけて終了となりました。

滝沢さんの考えるSDGs
【秦先生の事例紹介】
秦さやか先生

秦さやか先生の勤務する杉並区立西田小学校はユネスコスクールとしてESDの実践を全校で行っている学校です。
5年生の総合的な学習の時間は「環境」がテーマとなっており、その中で滝沢さんの講演が行われました。子ども達は事前に滝沢さんの本を読んだり、講演後に内容をまとめたほか、その後も継続的に学びを深め、子ども達自身で考えた「校内からはじめるエコアクション」を実施しているそうです。

校内からはじめるエコアクション

学習発表会では、SDGsを取り入れたミュージカルを子ども達と一緒に作成。楽しく学びながら、環境問題を「自分ごと化」している子どもたちの取り組みに、先生方からも賞賛の声が上がりました。

学習発表会では、SDGsを取り入れたミュージカルを子ども達と一緒に作成
【J-POWERからの情報提供】
J-POWERからの情報提供

J-POWERからの情報提供では、「気候変動問題を取り巻く最近の情勢とCO2ゼロエミッションに向けたJ-POWERの取り組み」を、「第6次エネルギー基本計画」や、COP26の「グラスゴー気候合意」などを踏まえて紹介しました。
エネルギーは、SDGsの様々な目標に密接に関係しています。私たち一人ひとりが「無駄を無くす」ことを意識して、エコな生活を心がけることが重要です。滝沢さんが提起するゴミ問題とも通じる課題であることが分かりました。

エネルギーと環境の共生をめざして
【最後に】

全体を通して、講演中にチャットでお寄せいただいたたくさんの質問にお答えしました。
「排水溝にミニタービンを設置すれば排水のたびに発電できるのでは?」と子どもたちから提案されたエピソードが飛び出すと先生方から拍手が起こりました。実は「マイクロ水力発電」といって今後実現させようとしている技術です。子どもたちの発想に感心させられました。
最後に記念写真を撮影し、笑顔で終了となりました。終了時間を過ぎても熱心に質問されている先生方の姿が印象的でした。

エネルギーと環境の共生をめざして

3. 参加者の声

(抜粋)
【滝沢さんのワークショップ】
  • ペットボトル工場やファストファッションの話など、目に見えない部分に気づかせていただきました。「目の前のごみがなくなればいいと思っていないか」子どもたちだけでなく、自分自身にも問いかけたいメッセージでした。
  • 分別はするのですが、その後のことまで考えていなかったので、目から鱗でした。あと20年しかゴミの回収ができないとなるとその後は、どんな世界になるのか考えただけでも怖くなりました。
  • 実話を通したゴミの話、そしてゴミを通してエネルギー問題やファッションロス、フードロス等SDGsにつながる話、とてもよくわかりました。リアルな写真には説得力がありました。高校になると、ゴミに関する勉強が疎かになり、ゴミを捨てることに無意識になっている感じがします。もう一度、ゴミについて見つめなおして、高校現場でも意識的に取り入れていくことが必要だと感じました。
【秦先生の事例紹介】
  • 滝沢さんの講演を自分たちに生かしていく実践に感動しました。みんなで協力してできることを見つけ、考え、まずやってみることこそが大切なのだと、子どもたちに身をもってつかませることができたのだと思います。
  • 小学生がしっかりと学んでいることを感じました。中学校でも学びを進めていかなければならないと強く思いました。
  • 小学校の実践力にとても感心しました。どうしても学校現場は閉鎖的になってしまいます。やはり外部の方々とつながることで、子どもたちは勉強になるはずです。高等学校でも、もっと学校の側から外にむけて門を開き、教員こそが外に出ていかないといけないなと感じました。
【J-POWERからの情報提供】
  • エネルギーの3E+Sは、エネルギーの最適化の視点で授業で実践していますが、また新たなヒントを得たような気がします。
  • エネルギー自給率8%の日本でどうやってカーボンニュートラルを実現していくか。人任せじゃだめですよね。それには現状を知り、これからの技術開発を知り、私たちも協力していくことが必要だと感じました。
  • 2030年は非常に厳しい目標だけど、やれることは全部やるという言葉に感動しました
【全体について】
  • 参加者同士の交流時間が良かったです。意見が活発で勉強になりました。同じような問題意識をもつ方とお話しできることがいいですね。
  • あっという間に時間が過ぎてしまいました。これからの授業に活用できる教材もありました。新しい情報にも触れられ、社会が広がったように感じます。学校もアンテナを高くし、どんどん外に出て行かなければならないと感じました。いろいろな地方の意見や様子が聞けたのも良かったです。