龍王権現の滝(静岡県浜松市)

「音のソノリティ」を詠む

一木(いちぼく)のすがたへ滝はその白き身をあおぞらに立ち上がらせる

歌人 小島 なお

ダダダダダダ。ザザザザザザ。豊かな水量が岩肌を垂直に落下し滝壺へしぶく。めぐりには蜩(ひぐらし)の声の輪が広がりながら聞こえてくる。

静岡県浜松市天竜区佐久間町。深々と繁る針葉樹林を奥へ進み、吊り橋を渡った先に現れる龍王権現の滝。天竜川周辺の山々から集まる豊富な水流が約6mの高さから一枚の白布を垂らすように流れ落ちる神秘的な姿を見ることができる。一帯を囲む木々の濃い緑と滝壺に湛(たた)えれた澄んだ青。この滝には古くから神が宿ると信じられ、地域の人々の信仰の対象となってきた。五穀豊穣や雨乞いのために水の神様である龍王に願いを捧げたという。

淀みなく流れては落ちる滝はとどまることなく姿を変えてゆく。しかし一方で直立する一本として留まっているようにも見える。まるで一木の樹へ身を変幻させるかのように。

※「音のソノリティ」第1100回放映「龍王権現の滝」を観て詠んでいただいたものです。J-POWERグループは静岡県浜松市で佐久間発電所・ダム、佐久間周波数変換所などを運営しています。

龍王は水を司る日本古来の水神だが、権現は仏や菩薩が日本の神の姿で現れたという神仏習合の思想に基づいた言葉。(写真:竹本 りか)

PROFILE

こじま なお

東京都出身。2004年、角川短歌賞受賞。2007年、第一歌集『乱反射』により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2025年12月、第四歌集『卵降る』刊行。居合道三段。

音のソノリティ 世界でたった一つの音

J-POWER は、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。

日本テレビ系列 毎週日曜日 20:54 ~ など