琉球ガラス作り(沖縄県読谷村)
小島 なお
「音のソノリティ」を詠む
肉厚の琉球ガラスに浮きのぼる気泡のなかの海撫でてゆく
歌人 小島 なお
ガシッガシッ、ジャリ、シャリシャリ。大きいガラス片がバケツの中で割られ、砕かれていく。聞こえてくる音も徐々に変化して細かくなっていくのがわかる。
沖縄県読谷村(よみたんそん)。民家の一角にある工房では、使用済みのガラス瓶を利用した琉球ガラスづくりが行われている。瓶を色ごとに分けて砕き、琉球ガラス独特の多彩な色合いを出している。
沖縄でのガラス工芸は、明治中期の頃に始まり、100年以上の歴史を持つ。現在の琉球ガラスは、戦後の資源不足の際に米軍基地で廃棄されたコーラやビールの空き瓶を再利用して広まったものだ。
厚みがあり気泡を閉じこめているのが特徴の琉球ガラスは、沖縄の海そのもののように繊細で温かい。琉球という国の歴史や、かつて生きた人々を思いながらそっと撫でてみる。
※「音のソノリティ」第1007回放映「琉球ガラス作り」を観て詠んでいただいたものです。J-POWERグループは、沖縄県で石川石炭火力発電所を運営しています。
PROFILE
こじま なお
東京都出身。2004年、角川短歌賞受賞。2007年、第一歌集『乱反射』により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2020年4月、第三歌集『展開図』刊行。居合道三段。
音のソノリティ 世界でたった一つの音
J-POWER は、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。
日本テレビ系列 毎週日曜日 20 :54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 22 : 27 ~ (再放送)