エコ×エネ体験ツアー 火力学生編@磯子 2025年ツアーレポート
磯子火力発電所見学/社員との交流
2日目は朝食を済ませた後、バスに乗って磯子火力発電所まで向かいます!発電所見学を楽しみにしていた参加者も多く、みんな目が輝いていました!発電所に着くとすぐに、ISOGOエネルギープラザ館長の竹藤氏から磯子火力発電所の概要説明がありました。その後、発電所の案内を担当する、磯子火力発電所で働く若手社員の紹介もありました。火力発電の流れをおさらいした後、さっそく発電所見学へ出発です!




ボイラ、タービン、環境対策設備の運転操作と監視をしている運転センターでは、24時間365日、電気の安定供給のために発電所の社員が運転操作をしています。磯子火力発電所は首都圏の電源として環境負荷低減とコンパクトな設計を両立した石炭火力発電所であり、ここでは窒素酸化物や硫黄酸化物などの濃度もしっかりと管理されていました。
発電に使う蒸気は、発電効率をよくするために高温高圧にしてタービンに送られており、日本国内の石炭火力の中では高い水準の発電効率を誇っていると説明がありました。



ボイラの中で燃えている石炭の様子も特別に見学しました。ボイラからは離れていてもその熱が伝わったり、タービンからは振動を感じたりと火力発電の迫力を身をもって感じました!一通り発電の建屋を見た後は、屋外に設置されている石炭を燃やした時に出る有害物質を取り除くための装置、乾式排煙脱硫装置も見学。普段見ることがない発電の現場に興味深々の様子の参加者達。見学の合間には案内を担当する発電所の社員へたくさん質問をしている参加者の姿が印象的でした。
発電所の見学を全て終えた後は社員との交流タイムがありました。ここでは発電所で働く社員の働き方から、普段聞くことができないような細かいことまで思う存分対話をしました!



ボイラーの中で石炭が燃えている様子を見れたのが面白かった!

普段自分の使っている電気がこんなにも大規模なところで作られていることに驚いた!
三渓園の紹介/寸劇「横浜方式」
三渓園と磯子火力発電所は関係が深く、三溪園の園内には、発電所の立地に関わるとある工夫が施されています。磯子火力発電所のリプレイス時には、三溪園の園内から火力発電所の煙突が見えてしまうと、横浜市から建設の同意が得られなくなってしまうというところまで追いつめられていたといった話もあり、その当時携わっていたドクターから直々に経緯の説明がありました。三渓園の景観を発電所の煙突で損なわないようにするため、その工夫として三渓園の中に築山を造り木を植えており、ここまで配慮をする必要があるのか!と驚きました。
また、1960年代に実際に起こった、横浜に火力発電所建設をしようとなった際の地域の人々、横浜市電力会社の葛藤や苦悩を、参加者達がそれぞれの役になりきって寸劇で実演しました!


ゲスト講義 「カーボンニュートラル実現に向けた産業界・技術開発の動向」
BUSINESS INSIDER JAPANで副編集長を務める三ツ村崇志氏が特別ゲストとしてツアーに参加し、講義をしてくれました。脱炭素の現状や、各国のカーボンニュートラルに対する温度感、新エネルギー産業の現場について、実際に科学分野についてたくさん取材をされている三ツ村氏の説明に参加者達は聞き入っていました。
カーボンニュートラル実現のために開発、実用化されている技術のお話も聞け、新たに知ることも多く、とても勉強になる講義でした。三ツ村氏は「気候変動対応は今や経済の中心軸の1つになりつつある。企業も脱炭素人材を求める時代のため、環境問題だけでなくマーケティングや広報などのビジネスも学び、脱炭素人材になっていくことが大切です」と参加者達に伝えました。

講義「科学技術コミュニケーション概論」
このツアーの運営をしているサイエンスカクテルのゆかりんから「科学技術コミュニケーション」について、お話を聞きました。非専門家である人達にとっては、わからないことについては聞こうとする積極的姿勢を取り、その理解を社会の様々な場面で応用する「科学技術リテラシー」を持つことが大事であると強調。価値観や立場の違う人との対話を通じて新しい価値を作り上げていくことの大切さも教わりました。
横浜方式の実例を学んだあとの参加者達は、このお話聞くことでより一層対話の重要性を痛感することができました。

振り返り
横浜テクノタワーホテルに戻ってきた参加者達は、このツアーで学んだことや自分の考えを整理する時間として、1日の振り返りを行います。この時間は学んだことをノートに書き出して自分の中で整理し、復習する大切な時間です。自分の考えを整理した後は、それを参加者同士で発表し合うことで自分では気が付けなかった新たな発見があ り、改めて対話の必要性にも気づきます。


「知識と経験が結びついた」はるな
工学部に所属しており、発電所そして環境問題に興味があり、このツアーに参加することを決めました。普段電気について学んでいるけれど、電気と環境は切り離せないものであり、両方の分野の学びを深めていくことが大切なのだと気づかされました。
また、発電所見学ではめったに入ることのできない火力発電所の設備全てに感動しましたが、特に高圧、中圧、低圧のタービンが横に並んでいたところは自分の習った知識と結びついて、とても面白かったです!知識と体験を通して新たな学びを得ることができました!
「最初は1人でもいつか仲間はできそう」よじ
このツアーは普通じゃないなってすぐに感じました。というのも、主催J-POWERさんの他にサイエンスカクテルさん、リボーンさん、髙倉環境研究所さんと、共通の思いを持つ異なる団体に所属する人たちが共同して作り上げたものだったからです。実は私自身、この春から起業をする予定で、今までソフトウェアづくりやプロジェクト企画にも挑戦してきました。多くの人と話し、仲間を見つけようとしてきましたが、なかなかうまくいかず1人で進めてきました。そんな状況に将来不安に感じることも多かったですが、このツアーを運営している方々を見ていたら、いつか仲間は見つかるかもしれない!と思うことが出来ました。ここでもらった勇気を存分に活かしていきたいなと思います!