大学生向け 火力編@磯子ツアー レポート

エコ×エネ体験ツアー 火力学生編@磯子 2024年ツアーレポート

9:00 磯子火力発電所へ 待望の火力発電所に向けて、元気に出発!

前日の疲れを見せることなく、しっかりと朝食を摂り、小雨の中バスに乗って出発前日の疲れを見せることなく、しっかりと朝食を摂り、小雨の中バスに乗って出発
前日の疲れを見せることなく、しっかりと朝食を摂り、小雨の中バスに乗って出発

火力発電所見学の日の朝は、朝食後、バスに乗って磯子火力発電所へ。到着すると、ISOGOエネルギープラザの竹藤館長からご挨拶。発電所内を案内してくれる磯子火力発電所で勤務する3人の若手社員を紹介してもらいました。

竹藤館長と案内役の若手社員たち
竹藤館長
保守グループ 林
竹藤館長と案内役の若手社員たち
運用グループ 五十嵐
竹藤館長と案内役の若手社員たち
運用グループ 関口

9:10 ISOGOスコープ(発電所見学) 石炭を燃やし、タービンを回して発電するところを間近で見学

磯子火力発電所は、国内の石炭産業を保護する国の政策を受けて建設された石炭火力発電所で、1967年に旧1号機、1969年に旧2号機が運転を開始しました。その後、大規模なリプレース(建て替え)を経て、2002年に新1号機、2009年に新2号機が運転を開始。首都圏の電源として環境負荷低減とコンパクトな設計を両立した石炭火力発電所です。発電所見学では、そのようなテクノロジーの数々を直接見ることができます。

ここからは3グループに分かれて、見学に出発です!

①展示室の模型で石炭火力発電の流れを知る

発電所全体を俯瞰できる1/100サイズの模型
発電所全体を俯瞰できる1/100サイズの模型
展示室には発電の仕組みを学べる模型も
展示室には発電の仕組みを学べる模型も

②ボイラー建屋の屋上から発電所全体を見渡す

あいにくの天気でしたが、高さ200mの煙突を目の前で見ることができました
あいにくの天気でしたが、高さ200mの煙突を目の前で見ることができました
あいにくの天気でしたが、高さ200mの煙突を目の前で見ることができました

③「運転センター」のようすを見学

運転センターでは24時間365日、電気の安定供給のために運転員が発電機の出力調整や窒素酸化物の濃度などを監視
運転センターでは24時間365日、電気の安定供給のために運転員が発電機の出力調整や窒素酸化物の濃度などを監視

④ボイラーの中で燃える石炭の熱を感じる

ボイラーは離れていても明るく、近づくとかなり熱い
ボイラーは離れていても明るく、近づくとかなり熱い

⑤タービンに触れてみて「回転」を実感

ボイラーでつくった蒸気でタービンが回転。触ってみると振動が伝わってきます
ボイラーでつくった蒸気でタービンが回転。触ってみると振動が伝わってきます
巨大な配管を目の当たりにするだけでもテンションが上がる
巨大な配管を目の当たりにするだけでもテンションが上がる

⑥環境対策のための施設も

石炭を燃やした時に出る硫黄酸化物を取り除く乾式排煙脱硫装置
石炭を燃やした時に出る硫黄酸化物を取り除く乾式排煙脱硫装置
建屋の外観は景観に配慮した色合い。発電所内は敷地の20%以上を緑化しています
建屋の外観は景観に配慮した色合い。発電所内は敷地の20%以上を緑化しています

10:50 電力会社で働く若手社員との交流 火力発電所で働く“社会人の先輩たち”へ質問

見学から戻ったら、グループごとに交流する時間。ここからは業務グループの近藤も加わります。ここでは、発電技術、環境対策などについて質問が相次ぎました。J-POWERに入社して3年くらいの若手社員たちは、参加者と年齢が近く、話しやすかったようです。就職や将来のことを考えはじめている参加者は、入社の動機や仕事のやりがいなどを熱心に聞いていました。

保守グループ 近藤(写真左)
業務グループ 近藤(写真左)
対応してくれた若手社員の皆さん年齢が近い社員との交流は大いに盛り上がりました
年齢が近い社員との交流は大いに盛り上がりました
昼食も社員と一緒に。すっかり打ち解けました
昼食も社員と一緒に。すっかり打ち解けました
「はまかぜ広場」で記念撮影
「はまかぜ広場」で記念撮影

13:10 三渓園 磯子景観対策築山見学 三渓園から見える磯子火力発電所の姿は……?

発電所見学を終えると、磯子火力発電所からバスで三渓園へ。実業家で茶人の原三渓の邸宅であった三渓園は、敷地面積18万平米の広大な日本庭園。園内を散策していると、小高い築山が見えてきました。この築山は磯子火力発電所をリプレースした時に、三渓園からの景観を損なわないためにつくったものでした。当時J-POWERのグループ会社で環境分析をしていたドクターは、この築山づくりに携わっていました。

当事者だったドクターの案内。「園内から煙突が見えるとリプレースを許可できないとのことでつくった人工築山です」
当事者だったドクターの案内。「園内から煙突が見えるとリプレースを許可できないとのことでつくった人工築山です」
当時10mの木を植えた築山の向こうには高さ200mの煙突がそびえていますが、ここからは見えません
当時10mの木を植えた築山の向こうには高さ200mの煙突がそびえていますが、ここからは見えません
あいにくの雨で園内散策ができないので、晴天の日に撮影した動画で園内散策。展望台から見た煙突の姿も
あいにくの雨で園内散策ができないので、晴天の日に撮影した動画で園内散策。展望台から見た煙突の姿も

14:30 寸劇「横浜方式」 60年前、石炭火力発電所建設の裏側で何が起きていたのか

三渓園内の鶴翔閣楽室棟に移動して、磯子火力発電所と横浜市による環境保全の取り組みを寸劇で紹介します。演じるのは、その場でドクターが(歌いながら)選んだ9人の参加者です。

時代は今から60年前、高度成長期の昭和30~40年代。増加する電力需要への対応と産炭地振興を進めたい国から要請を受けた電力会社は、石炭火力発電所の建設計画を進めていました。しかし、大気汚染による健康被害を懸念する声が高まり、医師会や婦人会などが横浜市に陳情。当時の飛鳥田横浜市長は環境対策14項目の要望案を作成し、電源開発(J-POWER)と公害防止協定を結びました。自治体と企業が直接公害防止協定を締結することなど前例がなく、こうした取り組みは「横浜方式」と呼ばれて全国に広がっていきました。

この寸劇では、そこに至るストーリーを演じます。

公害問題が広がっていた時期でもあり、健康被害を心配する地域の人々
公害問題が広がっていた時期でもあり、健康被害を心配する地域の人々
電源開発と横浜市長が協議を行い、直接公害防止協定を締結しました
電源開発と横浜市長が協議を行い、直接公害防止協定を締結しました
9人の演者とドクターによるカーテンコール
9人の演者とドクターによるカーテンコール

15:20 講義「エネルギーの安全保障」・振り返り 今世界で起きていること、その背景にあるエネルギー問題を知る

寸劇に続いて行われた講義は、今年のツアーの主題に迫るテーマ「エネルギーの安全保障」です。講師は、ユニバーサルエネルギー研究所代表の金田武司氏。エネルギー専門シンクタンクとして、政府や地方公共団体、エネルギー関連企業などに対してコンサルティングサービスを提供している金田氏は、新型コロナウイルス感染症や数々の国家間紛争、戦争など数々の事例を挙げながら、あらゆる国家的危機の根本にエネルギー問題があることを示しました。さらに金田氏は歴史を遡り、ペリー来航における石炭の存在、第二次世界大戦の発端となった石油取引などを紹介しつつ、燃料資源を海外に依存することの危うさ、国家におけるエネルギー政策の重要性などについて語りました。歴史の授業や日々のニュースではなかなか語られることのない事実を目の当たりにした学生たちは、今まさに起きている危機的状況に衝撃を受けていましたが、その中で何をすべきか、改めて考えるきっかけとなったようでした。

ユニバーサルエネルギー研究所代表 金田武司氏
ユニバーサルエネルギー研究所代表 金田武司氏
金田氏の講義をふりかえりながら、未来に向けて何をすべきか考えはじめた参加者たち金田氏の講義をふりかえりながら、未来に向けて何をすべきか考えはじめた参加者たち金田氏の講義をふりかえりながら、未来に向けて何をすべきか考えはじめた参加者たち金田氏の講義を振り返りながら、未来に向けて何をすべきか考えはじめた参加者たち
金田氏の講義を振り返りながら、未来に向けて何をすべきか考えはじめた参加者たち

19:20 ダジックアース体験 地球規模で見てみると、さまざまな課題に対する見方が変わる

火力発電所見学、三渓園での寸劇や刺激的な講義の後は、横浜研修センターに戻り夕食。この日の最後のプログラムは、球状のスクリーンに地球の映像を映し出した「ダジックアース」を体験します。灯りを落とした体育館に浮かび上がった地球の映像に、人類誕生から現在までの歴史、温室効果ガスの状況を重ね合わせることで、遠く離れたどこかの国の問題も、地球に住む自分たちの問題だと認識することができました。

人類誕生から世界中に生活圏を広げていく様子を観察人類誕生から世界中に生活圏を広げていく様子を観察
人類誕生から世界中に生活圏を広げていく様子を観察
映像制作と解説は岩城氏(イワクニ)が行いました
映像制作と解説は岩城氏(イワクニ)が行いました

20:20 自由交流会 最後の夜、語りたいことが溢れて止まらず……

いよいよツアー最後の夜となりました。この2日間ですっかり仲良くなった参加者たち、スタッフも交えて、時間終了まで語り合いました。

語り合う輪は、大きくなったり小さくなったり。スタッフを質問攻めにする参加者も語り合う輪は、大きくなったり小さくなったり。スタッフを質問攻めにする参加者も語り合う輪は、大きくなったり小さくなったり。スタッフを質問攻めにする参加者も
語り合う輪は、大きくなったり小さくなったり。スタッフを質問攻めにする参加者も

2日目を振り返って

  • 「実際に働いている社員のリアルな声を聞くことができる貴重な機会を通して、発電所やそこで働く人達の存在の身近さを感じることができた」
  • 「寸劇は参加型で見ている立場としても面白く、また自分事として捉えるきっかけになった」
  • 「公害が起きたばかりのあの時代では、どれだけ根拠を提示されても完全には信頼できないと思う。だから横浜方式の斬新かつ画期的な解決策の素晴らしさが際立ったように感じた」
  • 「講義では、日本の円の価値や国債などを考えるとやはり日本に明るい未来の希望を持つことに一抹の不安がある。だからこそ情報に流されず学ぶことが必要であり、知識を身につけることの重要性を実感した」
  • 「ダジックアースは、大きな地球をイメージすることで世界的な気体の分布や汚染物質、歴史などを理解するのに最適だと思った」
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