エコ×エネ体験ツアー 水力編@御母衣小学生親子ツアー 2023年ツアーレポート
2日目06:30水源地ウォーク






2日目は朝食前に「源流の森ウォーク」へ行きました。前日の夜にナイトウォークで通った道をバスで進み、昨晩とはまったく違う景色に驚きながら森の入口へと向かいます。
森の中を進みながら「この実は何?」「この葉っぱ、なんか面白い」など、子供も大人も会話が弾みます。「これは苦いきのこだよ」「この葉っぱは匂いがするよ。何の匂いかわかる?」と自然学校スタッフが答えてくれました。植物や自然に詳しいスタッフの知識の豊富さに驚きながら、森の中のウォーキングを楽しみました。
しばらく進むと、さらに道が険しくなりました。その先に川の源、水が湧き出る源流があり、ここから出ている水は水質検査をクリアしており飲むことができることを教えてもらいました。参加者たちは交代で水が流れ出ているところに行き、水の冷たさを感じたり、水を飲んでみたりしていました。どんなに雨が降らない日が続いても、この源流からは水が出続けているそうです。自然学校のスタッフから参加たちへ「源流の水はどこからくるのか?」という質問が投げかけられました。



途中で、山の土を調べる実験を行いました。地面の土を集めて、ふるいにかけると最後に丸い土のようなものが残りました。この丸い土は「源流の水はどこからくるのか?」という問いに関係しているようなのですが、この答えはこの後の「ドクター」による実験までのお楽しみということになりました。この後の実験に期待が膨らみます。
2日目08:00朝食

自然学校に戻ると朝食の時間です。散歩の後の朝食は、より一層おいしく感じられました。
2日目09:30水力発電に挑戦!~ロックフィルダムをつくろう~




今度は、皆で協力してダムを作って水力発電に挑戦しました。グループに分かれて、川の中でダムを作って、水車に取り付けられた豆電球を点灯させます。スタートの合図で場所選びが始まり、各グループ、発電に適した場所を選ぶために「ここは流れが速いから良さそう」「ここは段差があるからいいんじゃない?」と話し合って、ダムを作る場所を決めました。
場所が決まったら水車を設置します。木材で作られた水車は、水流の影響を受け、動きやすいので、まずは土台部分を平らにし、水車が動かないように重りとなる石を乗せました。水車が固定されたらダム作り開始です! 水がたまり流れに勢いが出るようにダムを作っていきますが、石の隙間から水が漏れてしまったり、積み上げた石が崩れてしまったりと、どのグループも苦戦していました。
積んだ石が崩れてしまったり、水流が強すぎて水車が動いてしまったりと失敗の繰り返しでしたが、これまでダムと発電についてたくさん学んできた参加者たちは、積んだ石の隙間から水が漏れないよう、ダムで使われていた粘土質の土の代わりに石の間に大きな葉っぱを挟んでみたり、大きい石だけでなく小さな砂利を混ぜてみたり、子供も大人もいろいろな工夫をしてダムを作っていました。子供はもちろん、大人もびしょ濡れになって大きな石を積んでいる姿が印象的でした。2日間親子で一緒に学び、同じ経験をしてきたからこそ、子供も大人も一生懸命に楽しく取り組めるのだと感じました。




水力発電に挑戦した結果は全グループとも豆電球に灯りがつき、大成功でした! 水車と一緒の記念撮影では、皆で協力してやりきった後の素敵な笑顔がまぶしかったです。
2日目11:10まとめのワークショップ・ふりかえり



自然学校に戻って着替えたら、「ドクター」による自然と電気に関するお話と森の保水力実験の時間です。ペットボトルを使った実験で、今朝の「源流の森ウォーキング」で見つけた丸い土は、スポンジのように水を貯めておくことができること、また「源流の水はどこからくるのか?」という問いの答えは、土の中にたまっている水であることを学びました。「ドクター」オリジナルの実験装置で森に地下水がたまるメカニズムを学びます。そして、地下に雨水をためる自然のパワーと、ダムを作って水をためる人間のパワーが組み合わさって水力発電が成り立っていることを教えてもらい、電気と森、土の中の生き物は互いに関係していることをあらためて実感しました。



ふりかえりの時間では、2日間の出来事を思い出しながらそれぞれに感じたことを桜の花びらに書いていき、荘川桜に見立てた大きな桜の木のボードに貼り、満開の桜を咲かせます。2日間をともにした参加者の感想は、共感できるもの、「なるほど!」と新たな発見をさせてくれるものばかりで、さらに学びが深まったような気持ちになりました。
2日目13:20荘川桜で記念撮影

御母衣ダムが建設され、湖底に沈んでしまった地域にはかつて、人々に親しまれていた大きな桜の木がありました。電源開発の初代総裁高碕達之助氏はダムの建設により湖底に沈むはずだった桜の木を救いたいと考え、当時「移植は難しい」とされていた2本の桜の木の移植を実現しました。その桜の老木は「荘川桜」として今も御母衣湖の湖畔に立ち、多くの人々に親しまれています。
ふりかえりを終えた一行は実際の荘川桜を見学し、記念撮影をしました。ダム建設前からこの地域のようすを知る荘川桜は、昔の人々の思いを現在に伝える象徴です。荘川桜を実際に見て、2日間で学んだことを忘れずに、エネルギーと自然を大切にして暮らしていきたいという思いを新たにしました。
2日目13:45昼食

その後、すぐ近くのドライブインみぼろ湖で昼食を頂き、帰路につきました。帰りのバスの車内では、自然学校スタッフの「リンリン」が撮影したツアーの写真をスライドショーで上映し、多くの参加者が名残惜しむように見ていました。
子供たちにとって、長いコロナ禍で体験の機会が多く失われましたが、今回のツアーでダムや発電所を見学して、実際に見る・触れる・考える体験の素晴らしさをあらためて実感しました。2日目の終わりに2組の親子にインタビューをしました。
「くうたろう」さん&「なかまり」さん親子

- 昨年は娘とオンラインプログラムに参加しました。今回、昨年は画面越しに見ていた「ドクター」と実際にお話しできたり、ダムを作ったり、現地での開催ならではの体験ができて良かったです。ロックフィルダムを下から見上げた景色は圧巻でした。朝の源流の森ウォーキングや、ダムを作って水車を回す実験も、大人も子供も一緒になって楽しめました。(なかまりさん)
- ロックフィルダムがすごかったので、他の人にもぜひ下から見上げてみてほしいと思いました。皆で協力してダムを作った実験が楽しかったです。ホタルが見られたのも嬉しかったです。自然をすぐそばで感じられて楽しいツアーでした。(くうたろうさん)
エコ×エネ体験ツアーの魅力は、エネルギーや環境のことだけでなく、地域のことや社会課題など様々なことを体験を通して学べることです。J-POWERの「やまゆき」さんに話を聞きました。
最近は学校でも、SDGsや環境問題をテーマにした授業が多いと思いますが、エコ×エネ体験ツアーは机上ではできない体験がたくさんできることが魅力です。ツアーには、テーマになっている「エコ×エネ」のほかにも地域のことや社会課題など多様な要素が詰まっているので、いろいろな学びが得られる経験ができると思います。
今年も多くの小学生親子が学んだエコ×エネ体験ツアーは来年、再来年と歴史をつないでいきます。水力編 小学生親子向けツアーは、御母衣と奥只見(おくただみ)の2コースがあります。募集開始は毎年5月の上旬ごろの予定です。
「ルイ」さん&「ひでまる」さん親子