おふさ観音 風鈴まつり(奈良県橿原市)
小島 なお
「音のソノリティ」を詠む
掌(てのひら)を合わせて祈る姿から鳴りいだすときそれは風鈴
歌人 小島 なお
しゃりんしゃりん。からころ。りりりりり。風が吹く度に小さな境内のいたるところに吊るされた約3,000個の風鈴がいっせいに鳴り渡る。
奈良県橿原市にある「おふさ観音」。毎年7月から9月の間、風鈴まつりが行われる。この地域では昔から夏に厄払いのお参りをする風習があり、訪れる人々に涼を感じてもらおうと始められたという。岩手の南部鉄器風鈴や福島の喜多方風鈴など全国各地の風鈴が集められ、音色の違いを楽しむことができる。
半年分の穢(けが)れを落とし、残りの半年を無事に過ごせるように願う。古来、人々はそうして夏の祈りを捧げてきた。掌を合わせ境内に佇む一人ひとりの姿はどこか風鈴に似ている。参拝に俯うつむく時、言葉はなくとも、心の底の願いが夏風に乗って鳴り渡ってゆく。
※「音のソノリティ」第1047回放映「おふさ観音 風鈴まつり」を観て詠んでいただいたものです。J-POWERグループは奈良県で4つのダムと、十津川(とつかわ)第一発電所、北山川(きたやまかわ)発電所などを運営しています。


PROFILE
こじま なお
東京都出身。2004年、角川短歌賞受賞。2007年、第一歌集『乱反射』により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2020年4月、第三歌集『展開図』刊行。居合道三段。
音のソノリティ 世界でたった一つの音
J-POWER は、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。
日本テレビ系列 毎週日曜日 20:54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 22:27 ~ (再放送)