大学生向け 火力編@磯子ツアー レポート

エコ×エネ体験ツアー 火力編@磯子大学生ツアー プログラムアドバイザー

磯子火力発電所の重厚さと人の知恵を知る。

私は、2016年夏の水力編に引き続き、今回のエコ×エネ体験ツアー火力編にもPAとして参加させていただきました。夏の水力編では自然とエネルギーとの不可分な関係をまざまざと思い知ったのですが、はたして火力編ではどんなエコ×エネの関係を知ることができるのだろう、と興味深く当日を迎えました。

1日目の午前中から、軽快なファシリテーションでプログラムは進んでいきます。エネルギーに関する写真を見てイメージを膨らませたり、「エネルギー大臣になろう」というゲームを楽しみながらエネルギーについて学んだり。と、一転してとても真剣な雰囲気に。磯子火力発電所に「潜入」するための準備です。発電所は見学者のために作られているわけではない、今回のツアーでは特別に、普通では入れないところまで見学していただくので、あらゆる危険があるのです、との説明。なるほど。皆、真剣にKY(危険予知)トレーニングなどに望みました。

2日目はいよいよ磯子火力発電所に「潜入」です。・・・これはぜひ皆さん自身の目で、耳で、肌で確認して欲しい。設備の重厚さと人の知恵とに圧倒されました。

ナイトクルーズで海から見る磯子火力発電所。これはエコ×エネ体験ツアーでのみ体験できる貴重なクルーズです。先ほどまで中から発電所を見ていたときとは違う印象。スッキリとしたフォルムが特徴的で、夕暮れから宵の頃合ということも相まって、人の作った構造物の中に幻想的な雰囲気を感じることができました。なお、発電所を案内してくれたガイドの方々も、自身の働く発電所を海から見ることはほとんどないらしく、写真をたくさん撮っていました。

最終日は、今までの体験や話し合いに基づいて、自分たちが望む暮らし、エネルギー、社会について考えます。同じような価値観を持つグループで分かれて話し合い、自分たちの将来のイメージを明確化していきます。「忙しくてもバリバリ働いていたい」グループや「誰もが共に育み恋するエネルギー社会」グループなど、個性的で魅力的な将来の社会観を、参加者全体で共有しました。

プログラムの最後では、「わたしたちの航海」として、自分自身が将来のために取り組んでいくことを宣言しました。やりたいことが明確になっている学生は、その目標に向けての一歩を、これからやりたいことを探したい学生は、探すためのやろうと思ったことを、それぞれ自分の言葉で表現していました。

長かったような、それでいて、あっという間の3日間でした。学生同士も名残惜しそうにお互いの連絡先を交換していました。夏の水力編とは一味違う、エネルギーと環境との関係を結ぶ人の知恵を知ることができました。

エコ×エネ体験ツアーの参加を検討している大学生の皆さん、ぜひとも参加されることをお勧めします。こんなに考え抜かれた、興味深いプログラムは滅多にない。普通に生活していたら気づかなかったことを気づくチャンスになることでしょう。

特定非営利活動法人 パブリック・アウトリーチ
木村 浩

プロフィール:木村 浩(きむら ひろし)
特定非営利活動法人 パブリック・アウトリーチ

2003年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、博士(工学)。 社会技術研究システム研究員、東京大学講師・准教授を経て、2013年より現職。2015年より(一社)環境政策対話研究所理事も兼ねる。
原子力やエネルギーに関するリスク・コミュニケーション研究や活動を幅広く展開している。近年では「次世代エネルギーワークショップ」の実行委員・講師として、大学生を中心とした若手世代のエネルギー教育にも力を入れていてる。その他、各種団体、NPO等から、原子力やエネルギー、原子力に関する社会調査、リスク・コミュニケーション、防災等に関する講演の依頼も多い。