水力編@奥只見 教師ツアー

エコ×エネ体験ツアー水力編@奥只見 教師ツアー プログラムアドバイザー

主体的・対話的な学びのために~ 「子どもの学びに火をつける」

時代が変わり、Society 5.0の時代を迎え、どのような人材が求められているのを考えてほしい。ICT化、グローバル化、加えて共生の時代になってきている。インターネットで何でもすぐに調べられる時代に、従来の学力重視でよいのか。教育も変わる必要がある。

学習指導要領では、これまでは個人の成長が中心だったが、今度の改訂で2つの面が書かれている。一つには「個人の成長」、もう一つは「社会の一員に加わること」である。前文では、「あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる」となっており、これはまさにESDの考え方を示していると言える。

生きる力を育むとは何か。それは、思考力・判断力・表現力と言える。つまり、ただ生きるのではなく、様々な人とコミュニケーションを取りながら力をあわせ、豊かな心や創造性、あるいは体力を育んでいかなければならない。

また、学習指導要領には大事なことが2つ書かれている。ひとつ、編成においては教科横断的に学ぶ「カリキュラム・マネジメント」をするということ。そして、それを実施するにあたっては、「主体的・対話的で深い学び」を作るということだ。「主体的・対話的」とは、自分の問題を感じ、それを追求し、そして成長していくことである。

今回使用したワークシートでは、自分がどこに何を感じ、それによってどんな疑問を持ち、どう学び、どういう変化をしたかを記入してもらった。それがまさに「学びを深める」ことだった。私たちは、この2日間でそれを体験してきた。

今回の素晴らしいツアーは、できるなら日本中の子ども達に味わわせたいが、残念ながらそれは難しい。だとしたら子どもの心を動かすような授業をどう作るか。そしてよりよい未来の作り手を育てるための工夫をどうするかが我々に求められている。

それは「子どもの学びに火をつける」こと。先生がさせるのではなく、自ら学ぶようになると、子ども達は変わっていく。その火をつけるには、子どもたち自身に、できるだけ感動的に、問題に気づかせる方法がよい。感動をうまくマッチさせて、基本的な事実を伝えることが必要だ。

さらに、子どもたち自身が発表する場を作ってほしい。何らかの形で発信する場をたくさん作ってあげる、つまり「学びの場」をつくることが大切だ。

もう一つ、「学びのつながり」を作ること。環境、文化、国際、人権等様々なテーマで、教科をつないでいく。テーマを持ってつなげ、それを発表するまで行うことで、教室や学校の雰囲気が変わっていくと思う。ぜひ、人や予算の問題にせず、カリキュラムをつなげることをしてほしい。知識理解の内容を学ぶのではなく、学ぶ課程が重要である。

日本ESD学会副会長(前江東区立八名川小学校長)手島 利夫

プロフィール:手島 利夫(てじま としお)
日本ESD学会副会長(前江東区立八名川小学校長)

前江東区立八名川小学校長、日本持続発展教育推進フォーラム理事、共創型対話学習研究所所⻑補佐、ユネスコスクールとしてESDカレンダーの開発・ESD推進に携わっている。