小学生親子向け 水力編@奥只見

エコ×エネ体験ツアー 水力編@奥只見小学生親子ツアー プログラムアドバイザー

五感を使って森の豊かさとエネルギーとの繋がりに気づく

貯水量日本一を誇る奥只見ダムは、新潟県の南(中越)の日本でも有数の豪雪地帯に位置している。山々に囲まれ越後三山亜只見国定公園内にあり、自然に恵まれた地域である。ダム建設のために作られた18ものトンネルが続く奥只見シルバーラインを抜けると銀山平に到着。ここからはダム湖横断する遊覧船に。船の中ではビンゴゲームでダム湖の自然観察プログラムに挑戦した後、J-Powerのツアーガイドの案内で、奥只見ダムの見学へ。高さ157mの壮大なダムを,ダムエレベーターで139m下降した。下に降りるにもかかわらず表示は1階から11階になっていた。そこは一年中9~11°Cで安定した温度になっている。訪れた8月末はまだ温度が高かったため、冷やっとしていたが、逆に冬は暖かく感じるらしい。そしていよいよ発電機室の見学へ。その時「これより発電を開始する」とのアナウンスが流れ、まさに発電開始の場面に遭遇することができた。ダムに貯められた水がゴーっという音とともに取水口から一気に落ちてきて1号機から3号機の回転軸を動かすパワーを体感することができた。大きなタービンが素早く回転し、まさに今電気が作られていることに見学者の親子は一斉に歓声を上げるほどの貴重な経験ができた。生活の豊かさを求めて多くの人々の苦労や犠牲の上に、奥只見ダムが作られた歴史を資料館の映像で見ることができた。自然を活かして電気を作るダムの力や人々の工夫・努力について親子が共に考え学ぶことができた。1日目のフィナーレはナイトハイキング。暗闇の静かな宿舎周辺の散策、コオロギやカンタンなどの虫の声、土がえるの鳴き声、沢の水が流れる音、圧巻なのは雲の間から光り輝く星の多さ。一人一人がシートを敷き思い思いの場所に寝そべって夜の自然に包まれた。誰一人声を出すこともなく瞑想の時を味わった。 二日目は、銀山平周辺のブナの原生林での体験プログラムで奥只見の自然を体感する。森が育む様々な命や大きな水瓶にもなっている保水力についてネイチャーガイドと共に学んだ。またスタッフが尾瀬三郎の歴史を参加者と共に即興で演じたり模擬実験で森が水を貯える仕組みを学んだり、ネイチャーゲームで仲間意識を高めたりと、ブナの原生林をフィールドに楽しみながら学んだ。

豊かな自然(森)とエネルギー(電力)とがどのように繋がっているかを様々な体験を通して学んだ2日間だった。親子が同じ体験をし、気づき感じたことを対話しながら親子の絆も深まったことの価値は大きい。

東京都足立区立竹の塚小学校
石塚 裕幸

プロフィール:石塚 裕幸(いしづか ひろゆき)
東京都足立区立竹の塚小学校 副校長
全国小中学校環境教育研究会研究広報副部長
IPCC地球温暖化防止コミュニケーター資格取得

専門教科は社会科。東京都教員研究員として森林の働きや日本の国土の保全を中心に環境問題についての授業実践を奥多摩の林業家と東京都と連携して進めた経験をもつ。エコキャップの回収や給食の残菜のコンポスト化を通したゴミの減量化、壁面緑化(グリーンカーテン)による温暖化防止への取り組みについても積極的に実践している