小学生親子向け 水力編@奥只見

エコ×エネ体験ツアー 水力編@奥只見小学生親子ツアー プログラムアドバイザー

パッケージを解きほぐす

とある小学校の3年生が、授業でカブトムシを育てました。その生育記録には、「カブトムシはゼリー(昆虫ゼリー)を食べると思っていたけれど、トマトやスイカも食べて驚きました。」というまとめの言葉が書かれていました。はじめは奇異に思えたものの、子供たちの世界にもいつの間にかパッケージ化が進んでいるのだと思い返しました。確かに、都市部のホームセンターで売られているカブトムシやクワガタは、小さなケースに土、止まり木、ゼリーがセットになって陳列されています。

小学生や大人も含めた電気の概念は、まさにパッケージ化が進んではいないでしょうか。「豊かな自然」によってもたらされる「発電所(水力発電)」、そして「家庭の電気(製品)」。まるで三つのブロックのようなパッケージが合体して電気というエネルギーが私たちの生活に役立っていることは、知識としては理解しています。しかし、それらが一体どんな働きをしていて、互いがどう関係しあってシステムとして成立しているのかは、ブラックボックスです。 エコ×エネツアーは、まさにそのパッケージを解きほぐすツアーでした。

ブナの森と、その保水力、ナイトハイクで観察した動植物、様々な葉を使ったゲーム等で感じることのできた「豊かな自然」。先人の苦労の末に完成した巨大なダム、自然の力をフルに活用した水力発電の仕組み、発電所の構造見学、発電をコントロールする24時間の管理体制…といった「発電所」。それらを目のあたりにし、パッケージを解きほぐすことで、当たり前のように毎日使っている電気が、いかに多くの自然や人々の努力によって作り出されているという繋がりを実感させてくれました。

高度化し、分業化した社会であるからこそ、立ち止まり、体験し、理解し、エネルギーの有限さを身をもって知ることで、親子共々身近な日常を振り返る。J-POWERエコ×エネ体験ツァーは、そんな素晴らしい体験ができる稀有なプロジェクトです。

東京都多摩市立大松台小学校 副校長、全国小中学校環境教育研究会研究広報部長、
平成21年度コア・サイエンス・ティーチャー認定教員、地球温暖化防止コミュニケーター資格取得
關口 寿也

プロフィール:關口 寿也(せきぐち としや)
東京都多摩市立大松台小学校 副校長
全国小中学校環境教育研究会研究広報部長
平成21年度コア・サイエンス・ティーチャー認定教員
地球温暖化防止コミュニケーター資格取得

東京学芸大学在学中、原子力政策や地球温暖化(温室効果)について学び、東京都公立小学校教諭として環境教育を実践する。総合的な学習の時間の黎明期より、エネルギー(原子力発電)、食糧問題、ゴミ問題、地球温暖化等についてカリキュラムを作成し、指導してきた。町田市、大田区、多摩市公立学校教諭、多摩市立連光寺小学校副校長を経て現職。環境教育を核としたESDの推進により、子供を変えることで世界を変えることを信条に研究を進めている。