小学生親子向け 水力編@奥只見

エコ×エネ体験ツアー 水力編@奥只見小学生親子ツアー プログラムアドバイザー

エコ×エネ体験プロジェクト 身近な秘境・奥只見「自然と電気」体験学習ツアーレポート

ダムの深部にある発電所を見学中、不意に業務アナウンスが場内に響き渡り、さっきまで停止していた発電機の1台が動き出しました。今まさに、森から生まれてくる水を蓄えていたエネルギーが、電気の力へと換えられ、それは遠く首都圏へと送られるとのこと。奥只見の山中にいて、自然に同じ時間を生きている首都圏の人々の暮らしに想いがめぐります。発電機の始動は、その時、都会の人々の暮らしに必要な電気が足りなくなったことを雄弁に物語っていました。お昼近くになって、暑くなったから皆がエアコンを使い始めたのかなと、勝手な想像をふくらませたりして、自分のふだんの暮らしの風景と'知識'とが身の丈の感覚でつながっていきます。

やわらかな地面のブナの森で手にした落ち葉の一つ一つの湿りや、水上遊覧を楽しんだダム湖の豊かな水、冷気を帯びた巨大なコンクリートダムや震動音が響く地下発電所。感覚とともに参加者の身体に刻まれた記憶は、ふだんの暮らしの中でも、今回の体験と同じように、何かのきっかけで奥只見の森を思い起こさせてくれるに違いないでしょう。その時、私たちはエネルギーの消費者としてどういった行動を選択するのか。エコ×エネ体験プロジェクトがうたう「恊働」の真価はそこに問われています。

トヨタ白川郷自然學校チーフインタープリター
加藤 春喜

プロフィール:加藤 春喜(かとう はるき)
トヨタ白川郷自然學校チーフインタープリター

大学で動物学と博物館学を学び、長良川のほとりの小さな町で社会教育(6年間)、まちづくり(3年間)、ぬいぐるみ屋(2年間)の仕事をしてきた学芸員&社会教育主事&ぬいぐるみ職人見習い。準備室からトヨタ白川郷自然學校の設立に携わり、現在に至る。里山と奥山のフィールドを併せ持つ自然学校で、人と野生動物の幸運な出会いの場づくりを模索している。