大学生向け 水力編@奥只見ツアー レポート

エコ×エネ体験ツアー 水力編@奥只見大学生ツアー プログラムアドバイザー

エコ×エネ体験ツアー2011大学生編 プログラムアドバイザー レポート

「スイッチを押せば使える電気エネルギー」・・・いつしか当たり前になった、そんな私たちとエネルギーの関係を、3.11の震災は見つめ直す機会ともなりました。

・エネルギーとは何なのか?
・エネルギーはどうやって生まれるのか?
・エネルギーは何処からきて何処へ行くのか?

このエコ×エネツアー大学生編は、そのような問いかけに対し、気づきを与えてくれる2泊3日の自然体験だったように思います。

このツアーを一つのキーワードで表すとすれば"気づき"と言えるでしょう。

エコ×エネツアーは、体験とワールドカフェ形式のディスカッションが大きな柱となっています。それぞれ、受動的な学びの形式ではなく、自らの体験の中から、そして同世代の仲間が持つ様々な考え・見識に触れた中から、何らかの気づきを得らるよう配慮されています。また、発電所で働く人々との交流の場も設けられ、現場の声から気づきを得られるようにもしています。しかしながら、そこでは企業側の論理・カラーを前面に出すことはなく、多くの参加者にエコ×エネの様々な視点に触れ深めてもらうというスタンスを徹底しています。

環境とエネルギーの問題は、様々な矛盾を含む答えの無い課題といえます。これらの課題に対し、大人はどう取り組んできたのか。これからどう取り組もうとしているのか。ベストな正解ではないかも知れませんが、より良い答えを模索し取り組みを続けてきた生の現場に触れ、そこから気づきを得られるこの体験ツアーは、これから社会に踏み出そうとしている大学生にとって大変貴重な機会であるのは間違いありません。

プログラムは、自然の中からエネルギーを取り出す事、取り出すことによって自然にかける負担、それを軽減する為になされている対策・・・その一連の流れを1日目・2日目の体験を通じて感じ取り、2日目・3日目のディスカッションで考えさせる構成になっています。

詰め込み過ぎの感もある程、盛りだくさんの内容です。全てを消化しきれない人もいるかも知れません。しかし、このプログラムでは、何らかの合意や結論を出す事を目的とはしていません。参加者が必ず何かの気づきや様々な視点を得、持ち帰るものがあることを目的としているようです。

このようなプログラム構成の取り組みは、"体験から気づきを得られる"エコ×エネの良い入り口として、今後とも是非継続していただきたいと希望します。そして、気づきを得たのちの、この先の取り組みにもまた、期待するところ大です。

サイエンスカクテルプロジェクト
岩城邦典

プロフィール:岩城邦典(いわしろ くにのり)
サイエンスカクテルプロジェクトメンバー
有限会社サイエンスノード 社長
サイエンスプロデューサー/コンテンツクリエイター

科学業界の活動底支えを目的に、サイエンスプロデュース/コンテンツ作成を行う有限会社サイエンスノードを2003年に設立。WEB制作・運用から科学コンテンツの作成、イベント・ワークショップの企画・運営、デザイン・印刷物編集、各種専用プログラムの作成など、多岐にわたってサービスを展開。科学館・博物館・大学・研究機関・大学・NPO・個人など科学活動体を対象とする専門会社として、30以上の団体と250以上の仕事の実績を持つ。2006年からは、科学と社会を考える科学館学習プログラム開発・実施のための自主グループ『サイエンスカクテルプロジェクト』のメンバーとしても活動。産業史・技術史に関心を持ち、当時の技術を再現するキット開発なども行っている。