オンネトーの不思議な音(北海道足寄郡足寄町)

「音のソノリティ」を詠む

老いてゆく湖の声 過去からの声の連なる輪唱として

歌人 小島 なお

きゅおん、きゅいん、おんおん。まるでアニメの戦闘シーンやテレビゲーム効果音にも似た音が風の止んだ湖面のあちこちで聞こえる。

北海道の阿寒摩周(あかんましゅう)国立公園。その最西端に位置する秘湖オンネトー。オンネトーはアイヌ語で「年老いた沼」を意味する。湖面の標高は623m、11月末から12月初旬にかけて湖面が凍り、音が鳴り始める。音の発生する詳しいメカニズムについてはっきりとはわかっていないが、湖面に張った薄氷が膨張や収縮をする際に出る音と言われている。陽が傾き外気が冷えてくるにつれ氷が厚くなり、徐々に音が鈍く変化し、やがて聞こえなくなる。

湖も人間と同じように年を重ねているのなら、湖面にはきっと目には見えない透明な年輪が刻まれていることだろう。過去の記憶の連なりの中に、湖は今年もゆったりと老いていく。

※「音のソノリティ」第1065回放映「オンネトーの不思議な音」を観て詠んでいただいたものです。J-POWERグループは北海道で足寄(あしょろ)発電所、糠平(ぬかびら)発電所、上ノ国ウインドファームなどを運営しています。

オンネトーは、雌阿寒岳(めあかんだけ)の麓にある周囲2.5kmの湖。訪れる季節や時間によって色が変わることから「神秘の湖」と呼ばれている。(写真:後藤 昌美/アフロ)

PROFILE

こじま なお

東京都出身。2004年、角川短歌賞受賞。2007年、第一歌集『乱反射』により現代短歌新人賞、駿河梅花文学賞受賞。2020年4月、第三歌集『展開図』刊行。居合道三段。

音のソノリティ 世界でたった一つの音

J-POWER は、首都圏などで放送中のミニ枠テレビ番組「音のソノリティ~世界でたった一つの音~」を提供しています。「ソノリティ」とは、フランス語の音楽用語で「鳴り響き」の意味。日本の自然風景から、その場所でしか聞くことのできない音を紹介しています。

日本テレビ系列 毎週日曜日 20:54 ~ など /BS日テレ 毎週水曜日 22:27 ~ (再放送)