タイ初の超高圧海底ケーブル敷設に協力
タイ王国
サムイ島海底ケーブル連系プロジェクト
Global J-POWER ―世界とともに―
サムイ島海底ケーブル連系プロジェクト
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60年以上の信頼の関係性



J-POWERはタイ現地法人を通じて現在13件の発電所に投資し、同国の発電出力の約6%の持分出力を担っている。これが実現できたのは、1960年代からの40件以上のコンサルティング事業により培われた同国国営電力会社(EGAT)との信頼関係だった。
そんなJ-POWERが現在取り組んでいるのが、同国初の超高圧海底ケーブルを敷設する「サムイ島海底ケーブル連系プロジェクト」。本案件を担当する国際営業部上席課長山中鉄也さんにお話を聞いた。
「2024年2月に正式契約を交わしましたが、きっかけはその8年前にさかのぼります。J-POWERも参加しているCIGRE(国際大電力システム会議、電力システムの専門知識を共有するための世界的学術団体)でEGATの方に会った際に、タイ初の交流230kV海底ケーブル計画があることを耳にしました。J-POWERは、北海道と本州を結ぶ北本連系線など、海底ケーブルの敷設と保守運用の経験があるので、それを伝えたところ、大変興味を持っていただきました」
その後、EGAT副総裁はじめ多数の担当者が数度来日し、J-POWERの海底ケーブルの視察などを経て、コンサルティング業務の受注に至ったという。本案件は交流230kV2回線の海底ケーブルをタイ南部のビーチリゾート地であるカノムおよびその沖合のサムイ島間約48㎞に敷設するもので、2025年12月着工、2028年5月に1号線、翌2029年5月に2号線の運転開始を予定している。
現在、山中さんは長期出張でタイに滞在、本案件のフィジビリティスタディ(実現可能性調査)レビューと追加海洋調査の実施、ケーブルルート選定、詳細設計、さらに初期環境検査承認取得、工事許認可取得支援なども担当している。
「これから国際競争入札を行い、海底・陸上ケーブル製造・工事を行う企業を決める計画です」
今回の案件は最大水深23mにケーブルを敷設するもので、J-POWERが津軽海峡で行った水深約300mでの工事と比較すると容易に映るが、既設パイプラインやケーブルを避けるなどの制約が多く、慎重な施工が要求される。また、サムイ島への電力安定供給に必須の海底ケーブルなので、EGAT側に強い熱意があり、山中さんへの期待も大きい。
「ここで得られる海底ケーブル工事の知見は、今後タイでも導入計画のある洋上風力発電所の建設でも役立つと考えています」


“微笑みの国”の人たちとともに


南米、アフリカ、アジアの様々な国で勤務経験があるという山中さん。“微笑みの国”とも呼ばれるタイの人々の温厚な性格には驚きを隠せない。
「他国では車からクラクションを頻繁に鳴らされるのですが、タイではそのようなことはありませんし、街中でお先にどうぞと譲れば必ず会釈されます」
EGATの担当者との関係も良好で、会食などにもよく誘われるという。現地の人々との信頼関係を築きながら、同国の発展に貢献することを山中さんは楽しんでいるようだった。
