ワークショップ「エネルギー大臣になろう!」

エコ×エネワークショップ 先生方のためのオンラインワークショップ

電力会社の社員と話す!
先生方のための
オンラインワークショップ

今回で4回目となる「先生方のためのオンラインワークショップ」では、 J-POWERの社員4名が、各発電の特徴や、仕事に対する思いを語り、先生からのご質問に答えました。平日の夜にも関わらず全国各地から、小学校・中学校・高等学校の22名の先生方にご参加いただきました。

実施概要

  • 日程:2024年2月2日(金)19:00~21:00
  • 対 象:小学校・中学校・高等学校の先生
  • ツール:Zoom

スケジュール

  • 19:00~ オープニング
  • 19:10~ エネルギーの話(基礎編)
  • 19:30~ 電力会社で働く社員とのセッション
  • 20:10~ エネルギーの話(中級編)
  • 20:30~ 参加者セッション
  • 20:55~ エンディング
  • 21:00~ フリータイム(自由交流)

19:00オープニング

はじめに、ウォーミングアップとして、全員で一斉に回答するグーチョキパー・クイズを行いました。1問目は「電気(electricity)という言葉の語源は何でしょう?」。意外と知られていないようすで、先生方の回答はバラバラに分かれました。(正解は“琥珀”でした!)

オープニング

19:10エネルギーの話(基礎編)

クイズの解説とあわせて、「エネルギーの話(基礎編)」から本編スタートです。
1.電気ってどこから、どうやって来るの?
2.電気がいつでも使えるとはどういうこと?
3.昨今の電力不足に対してできることは?
3つの話題をJ-POWERの坂田が解説しました。発電の基本的な原理からはじまり、ロシアのウクライナ侵攻に伴う燃料調達の危機の中で私たちが今できることなど、改めて皆さんと確認しました。

エネルギーの話(基礎編)

19:30電力会社で働く社員とのセッション(ブレイクアウトルーム)

いよいよ小グループに分かれてのセッションです。水力発電・地熱発電・火力発電・原子力発電の4つに分かれます。先生方にはあらかじめ伺っていた関心の高い発電方法の部屋に入っていただき、J-POWER社員と先生方5~7名でセッションを行いました。
ルーム内では、各社員の大学時代の専攻や入社のきっかけといったパーソナルな話題から始まり、各発電事業での取り組み、メリットやデメリット、仕事に対する思いや苦労話など、少人数だからこその内容をリアルに語りました。

水力発電ルーム(呑田)

静岡県の佐久間発電所は、戦後の電力不足を解消するために作られたJ-POWER草創期の大規模水力発電所で、運転開始から半世紀以上が経ちます。設備の高経年化が進行しており、今後も安定運転を続けるためには大規模な更新工事が必要となっています。

設備の更新だけでなく、地域や社会から必要とされる次世代水力発電所になるため、【水力】・【地域・流域】・【人】を軸として、「持続可能な未来のため(NEXT)、我々にできることを考え、総合的に取り組んでいく(US)」という思いで始動した「NEXUS佐久間プロジェクト」を紹介しました。

先生方からは「発電機のライフサイクル」や「耐震について」、「ダムの土砂の処理方法」などの質問をいただきました。

電力会社で働く社員とのセッション(ブレイクアウトルーム)

地熱発電ルーム(浅井)

地熱発電はCO2の排出が少なく、地球にやさしい発電である反面、地熱資源が地下のどこにどれくらいあるか分からないなど、開発には長い時間がかかります。開発リスクも高く、調査ボーリングも高額で調査の結果、蒸気が出ない(発電できない)こともあります。一方で、国は地熱発電を2030年度に現在の約3倍の150万kWとする目標を掲げています。その実現にむけて、J-POWERの取り組みを紹介しました。

先生からは、「いちばん深刻だったトラブルは?」や、「地熱発電で近くの温泉が枯れないのか?」といった疑問や、「大学での学びと仕事とのギャップ」といったキャリア教育的な質問もありました。

地熱発電ルーム(浅井)

火力発電ルーム(福岡)

近年は燃焼時に排出されるCO2が多いことから、風当たりが強い火力発電。その状況を打開すべく、排出されるCO2のさらなる削減を可能とした次世代火力発電技術を開発している「大崎クールジェン」と、その技術を活用した「GENESIS松島計画」について紹介しました。 先生からは「石炭火力発電の歴史的経緯」や、「CO2フリーは実現可能なのか?」といった将来の話、「発電の経常収支」などたくさんの質問をいただきました。また、生徒と発電所見学をして、一緒にエネルギーについて考えたいという意見もありました。

火力発電ルーム(福岡)

原子力発電ルーム(尾定)

青森県下北半島で建設中の大間原子力発電所を例に解説しました。東日本大震災以降厳しくなった新規制基準への対応や、安全強化に関するさまざまな対策、防災訓練の設備など写真を交えて紹介しました。浸水対策として設置されている「水密扉」の厚さには、先生からも驚きの声があがりました。

原子力発電ルーム(尾定)

4つのルームに分かれてのセッションの後は、各ルームから代表1名の先生に、どんな話をしたのかについて全体共有していただきました。各ルームでの話題が、他の先生方にも分かりやすく共有されていました。

20:10エネルギーの話(中級編)

続いて、「エネルギーの話(中級編)」です。
ここでは「エネルギー・環境を取り巻く最近の情報」をJ-POWER多比良が解説しました。最新のデータをご覧いただきながら「日本の電力・エネルギーをめぐる状況」や、「気候変動をめぐる最近の状況」、「2050年カーボンニュートラルに向けた取り組み」について話をしました。

エネルギーの話(中級編)

再生可能エネルギーの導入が急速に進む中、資源の9割を海外からの輸入に頼る日本では、いろいろな発電方法をバランスよく組み合わせながら、需要の変動に応じて安定的な供給を続けていく必要があります。

安全性(Safety)を大前提として、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合Environment)を同時に実現する「S+3E」という考えの元、電力需要に応じたエネルギーミックスを考えていく重要性について話しました。

また、CO2削減に向け期待される新しい技術(CCUSなど)の紹介では、先生方が熱心にメモをとっている様子が画面越しにも窺えました。

なお、エネルギーに関する資料は、学校の授業で活用いただけるように、終了後にメールにてお送りしました。

20:30参加者セッション

最後にアウトプットの時間としてもう一度ブレイクアウトルームで自由なセッションを実施しました。先生からは「教科書では得られなかった新しい情報を子どもたちに伝えて、子ども達自身が考えられるようにしていきたい」、「日本や世界のデータをまとめて見ることで、初めて知ることがたくさんあった」といった感想が聞かれました。

参加者セッション

20:55エンディング~フリータイム

最後に記念写真を撮影して終了です。
終了後には、希望する先生方にフリータイムとして質問や感想を自由にお話いただきました。「発電所のメンテナンスにかかる費用は?」、「廃炉に関わる人の気持ちは?」など、本当に“ここだけの話”も多く飛び交っていました。遅い時間までご参加いただきありがとうございました。

エンディング~フリータイム

参加者の声(抜粋)

  • 直接社員の方の話を聞いたり,質問をしたりする機会は非常に貴重でした。楽しかったです!
  • やはり現場の話は今まで聞いたことがないワードや思考が追いつかないようなお話であったので、もっと関心を高く持って勉強をしなければと気付かされました。書籍だけではわからない生の声は大変貴重だと思いました。
  • 原子力グループに参加しました。安全を守るために、何重もの対策を取っていることを知りました。非常設備も定期的に点検していると知り、頭が下がる思いでした。
  • 地熱グループでした。一番知られざる地熱発電に携わっている社員と出会えたことが大きかったです。思っていた以上にマイナーな発電であったこと、それでもそこに可能性とプライドをもって携わっている方がいると知って、応援したくなりました。火山大国日本としては、地熱も安定供給電源の主力になるくらい発展してよいのでは!と思いました。
  • 社員の方が「課題を解決しよう、やってやろう!と思える子ども達が育っていくといいな」と仰っていたので、教師の側でできることを実践したいと思いました。
  • 自給率の低さや気候変動問題など、エネルギー産業に携わる側として話題にしにくい部分についても、明快に事実をまとめてくださり、それに対して暗い未来しか見えない…と思っていたところで、最後に新しいエネルギー技術開発についてもいくつも紹介していただいて希望の光が見えました。