大学生向け 水力編@奥只見ツアー レポート

エコ×エネ体験ツアー 水力編@奥只見大学生ツアー プログラムアドバイザー

可能性の広がる「今」だからこそ大いに体験し、大いに学んで欲しい。

エコ×エネ体験ツアー@奥只見、私は、8月24日~26日の2泊3日で参加させていただきました。立場としては、ほとんど学生さんと同じような立場。しっかり楽しみ、学ぼうと決意しました。

ツアーの前に個人的にもっとも楽しみにしていたのは、奥只見水力発電所の見学でした。日ごろエネルギーにかかわる仕事をしているので、電気を作る巨大な施設そのものに大きな興味(と半分の憧れ)があったのです。
もちろんそれは十分にエキサイティングなものでした。しかし、私にとっては、自然とのふれあいが、期待していた以上に心を揺さぶりました。人工湖とはいえ、周囲の自然と既に一体化してしまった奥只見湖。その周辺で、静かに水を守るぶなの森。深い緑と木漏れ日が目に刺さるようでした。
ぶなの森がなければ、湖の環境は悪くなり、水力発電所は機能しなくなってしまう。自然とエネルギーの深いかかわり。人間だけではエネルギーを作ることはできない。自然の力を使わせてもらって、初めて人間が生活するエネルギーをもらえるのか、と改めて教えられました。
人間が自然に返せるものはないのかとの思いから生まれた、湿原ビオトープの取り組み。すばらしい取り組みだと思う一方で、常に手をかけていなければビオトープが成立しないという危うさも知り、人間が自然にしてやれることの無力感のようなものも感じました。人間では太刀打ちできない自然の偉大さ、地球のバランス能力のすごさを思いながらも、しかし人間としてやれることをやっていかないといけないとの思いを抱きました。

学生たちとのふれあいも刺激的でした。いろんなものを大切に思い、いろんなことを考えながら、エネルギッシュに行動する学生たち。彼ら、彼女らはお互いの意見をぶつけ合いながらも、お互いが高まるように協調していく。ツアーが終わる間際に、新しいつながりを確認するように連絡先を交換している様を見て、将来へ一歩を踏み出そうとする新しいネットワークのできた瞬間に立ち会った思いでした。ちょっと年寄り臭くなりますが、自身の学生生活を懐かしく思い出し、いや、学生時代にこのような体験をもっとしておくべきだった、と深く感じます。
これから参加を考えている学生の皆さん、どうしようかと逡巡している皆さん、エコ×エネ体験ツアーは自信を持ってお勧めできます。日ごろから自然のことに、社会のことに、仲間のことに、なにより自分の将来のことに、アンテナを張っていればいるほど、実りの大きいツアーになることでしょう。そして、将来を語り合えるよい仲間もできることでしょう。

最後に参加していただいた学生の皆様、ツアーを表から裏から支えてくださったスタッフの皆様、貴重な時間と体験をありがとうございました。

「子ども達に感謝の大切さを教える」 しはん

プロフィール:木村 浩(きむら ひろし)
NPO法人パブリック・アウトリーチ 理事

2003年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、博士(工学)。
社会技術研究システム研究員、東京大学講師・准教授を経て、2013年より現職。2015年より(一社)環境政策対話研究所理事も兼ねる。
原子力やエネルギーに関するリスク・コミュニケーション研究や活動を幅広く展開している。近年では「次世代エネルギーワークショップ」の実行委員・講師として、大学生を中心とした若手世代のエネルギー教育にも力を入れている。その他、各種団体、NPO等から、原子力やエネルギー、原子力に関する社会調査、リスク・コミュニケーション、防災等に関する講演の依頼も多い。