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原子力発電のしくみと放射線

原子力発電のしくみと種類

核分裂のしくみ

軽水炉における原子力発電では、ウラン235などの核分裂しやすい物質を燃料として使用します。天然ウランには核分裂しやすい「ウラン235」が約0.7%、核分裂しにくい「ウラン238」が約99.3%含まれています。発電時に用いるウラン燃料では、「ウラン235」を3〜5%の「低濃縮ウラン」にして使用します。

核分裂反応は、ウラン235やプルトニウム239に中性子がぶつかることによって起こります。いったん、核分裂反応が始まると、次々と連続して反応が起こり、熱エネルギーを発生します。また、原子炉内で、燃えないウラン238が中性子を吸収することによりプルトニウムが生まれます。このプルトニウム239は核分裂性なので、さらに中性子を吸収すると核分裂し熱エネルギーを発生します。このように原子炉の中では、ウランとプルトニウムが同時に燃えています。

ウランの核分裂とプルトニウムの生成・核分裂
出典:「原子力・エネルギー図面集2014」

原子力発電のしくみ

原子力発電は、水の入った原子炉の中で、ウランおよびプルトニウムが核分裂するときに発生する熱を利用して蒸気を作ります。蒸気でタービンを回して電気を作るという点では、石炭や石油、天然ガスによる火力発電と同じ仕組みです。

  • 原子炉内ではウランおよびプルトニウムの核分裂によって発生した熱が燃料をとりまく水に伝えられ、これを高温・高圧の蒸気に変えます。この蒸気は、主蒸気配管を通ってタービンに送られ、タービン軸に直結した発電機を回して発電します。
  • タービンを回し終えた蒸気は、復水器内で冷却され、水となって再び給水ボンプにより原子炉に戻されます。
  • 復水器で蒸気を冷却する冷却水には海水を使います。
    *海水は管を介して蒸気を冷却するため、海水に原子炉の蒸気が混ざることはありません。
  • 原子炉の起動・停止は、制御棒の出し入れによって行います。

原子炉の出力を変えるには、原子炉内蔵型再循環ボンプモータの回転数を変化させて原子炉を流れる水の量を変化させる方法と、制御棒の位置を調整する方法があります

原子力発電のしくみ

ウラン燃料では

ウラン燃料

軽水炉でウラン燃料を使用すると、ウランは燃えて少なくなりますが、プルトニウムは次々に生まれますので、時間の経過とともに、ウランよりプルトニウムの方が多く燃えるようになります。その結果、運転中を平均すれば約3割、燃料取替前では約6割のエネルギーはプルトニウムの燃焼によるものです。

MOX燃料では

MOX燃料

大間原子力発電所で使用するMOX燃料では、ウランとともに最初からプルトニウムが燃え、全エネルギーの約8割がプルトニウムから生まれます。

原子炉の種類

日本で使用している商業用の原子炉には、沸騰水型軽水炉(BWR:Boiling Water Reactor)と加圧水型軽水炉(PWR:Pressurized Water Reactor)の2種類があります。

●沸騰水型(BWR)

沸騰水型は原子炉の中で水を沸騰させて蒸気を作り、その蒸気で直接タービンを回す方式で、東日本にある原子力発電所を中心に採用されています。

BWRのしくみ
出典:「原子力・エネルギー図面集2014」

●加圧水型(PWR)

加圧水型は原子炉内の圧力を高くすることで水を沸騰させず熱湯にし、その作られた熱湯を蒸気発生器に送り、別の系統の水を蒸気に変え、その蒸気でタービンを回す方式です。このタイプは西日本の原子力発電所で多く採用されています。

PWRのしくみ
出典:「原子力・エネルギー図面集2014」

●改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)

また、大間原子力発電所で採用している改良型沸騰水型軽水炉(ABWR:AdvancedBoilingWaterReactor)は、国内外の原子力発電所の建設や運転、保守の経験を踏まえ、国内外のBWRメーカー、国内BWR採用の電力会社、国(通産省(当時))で開発実証された技術を集大成し、昭和50年代初めより十数年の歳月をかけて開発してきたものです。ABWRは従来型BWRに比べ、主に以下の点で改良が図られています。

  • 安全性・信頼性の向上
  • 作業者の受ける放射線量の低減
  • 放射性廃棄物の低減
  • 運転性・操作性の向上
  • 経済性の向上

また、ABWRで採用されている改良技術は、国内外の発電所で十分な実績があり、今後もABWRを採用した原子力発電所が計画されています。

プルトニウムってどんなもの?

■プルトニウムは原子炉の中で生まれます。そして、プルトニウムはすでに利用されています。

プルトニウムは、原子炉の中で、燃えないウラン238が中性子を吸収して生まれます。このプルトニウムは、核分裂性なので、さらに中性子を吸収すると核分裂してエネルギーを発生します。このように原子炉の中では、ウランとプルトニウムが同時に燃えています。

■プルトニウムはアルファ線を出します。

プルトニウムは、アルファ線という放射線を出します。このアルファ線は物質を通り抜ける力がとてもに弱く、紙一枚でさえぎることができます。
原子力発電所では、プルトニウムをウランと同じように、金属製の管(燃料被覆管)内に密封された状態で取り扱いますので、外部への影響はありません。

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