「新経営方針について」
平成13年5月7日
電源開発株式会社
当社はこの度、平成9年の閣議決定を踏まえ、2年後を目途とする民営化とその後の発展を図るため、「卸電気事業の競争力の徹底強化」と、「国際事業・新事業の拡大推進」の2点を主たる目的とした、「新経営方針」を取りまとめました。
電気事業をめぐる事業環境は、電力需給の構造的変化や電力自由化の更なる進行見通し等、急速な変容を続けております。こうした著しい環境変化の中、当社が民営化を達成し、国内外において競争時代を勝ち抜く力強い電力・エネルギー企業として引き続き事業発展を果たしていくためには、上記2点、即ち「卸電気事業の競争力の徹底強化」と「国際事業・新事業の拡大」が不可欠であるとの結論に達し、グループを挙げて取り組んで参ることとしました。
今回経営計画では、こうした方針に基づき、今後の取組みの内容について決定致しましたので、ご紹介いたします。

1.卸電気事業の競争力の徹底強化:第三次企業革新計画の推進
卸電気事業は今後とも当社事業の柱であり、グループ全体での組織人員体制の抜本的効率化等による大幅なコスト削減を図り、競争力を徹底強化しつつ、これを推進して参ります。
このため、現行の「第二次企業革新計画」(平成10年度〜14年度)の取組みを平成12年度末で一旦終了させ、新たに、これを抜本的に見直した「第三次企業革新計画」(平成13年度〜17年度の5ケ年計画)の推進により卸電気事業の競争力を高め、収益力を向上させるとともに、財務体質の強化をめざします。
具体的な内容は以下の通りです。

(1) 組織体制の見直し
・組織体制の抜本的な見直しを行います。具体的には、1)執行責任・利益責任を持つ事業部制の導入、2)本店機能のスリム化、3)グループ会社の再々編、4)当社及びグループ各社の間接業務の統合処理等を計画しております

(2) 役員体制の見直し
・役員体制を見直し、取締役定数の大幅削減(20名→12名)を行うとともに、執行役員制を導入することとし、来年度改選期よりこれに着手します

(3) 大幅な人員効率化とコスト削減
・人員については、現在のグループ8千人体制を効率化し、平成17年度には25%削減した6千人体制を確立するとともに、平成17年度を目標に管理可能コストの20%以上の削減に取り組みます。

(4) 財務体質の改善
・業務用設備(本店社屋等)については、所有から利用へと転換を図り流動化を進めることとし、今後の設備投資の圧縮と相俟って、有利子負債の低減を行います。

2.今後の事業ドメインと新たな事業分野への取組強化
国内における過去50年間、また海外における過去40年間の事業実績により、当社の強みと経営資源は電力及びエネルギーの分野に存します。これを基盤に、今後の当社の事業ドメインを、「国内電力」、「海外電力・エネルギー投資」、「環境関連」、「資源関連」、「エンジニアリング」の5つに定めました。今後、この5つのフィールドで積極的な事業推進を図っていくこととし、特に「国際事業・新事業の拡大」を進めて参ります。

(1) 今後の事業ドメイン
  1. 国内電力事業
    ・ 卸電気事業(水力・火力・原子力)について着実な展開を図るとともに、風力発電、廃棄物発電、PFIコジェネ、MGT等既に着手した分野の拡大と後続プロジェクトの具体化、バイオマス発電やマイクロ水力、さらにはSOFC(固体酸化物形燃料電池)の実用化等の推進を図ります。
    ・ 電力小売関連事業については、今後の市場環境の変化に的確に対応しうるよう、検討を進めて参りたいと考えております。
  2. 海外電力・エネルギー投資事業
    ・ これまでの海外諸国でのコンサルタント事業での経験(57カ国、182件)を活かし、フィリピン、タイ、インド、中国等でのIPPプロジェクトが立ちあがっておりますが、今後はこれをさらに拡大し、当社事業第二の柱として育成すべく取組みを強化致します。このため、適切にリスク管理を行いながら、平成17年度までに500億円規模の投資を行いたいと考えております。
  3. 環境関連事業
    ・ ESCO事業、海外植林事業等に既に着手しておりますが、今後の地球環境問題やリサイクル問題等の動向を睨みながら、京都メカニズムに基づくCDM、JI等の事業への参加、廃棄物関連事業等を実施して参ります。
  4. 資源関連事業
    ・ 石炭、DME、さらにはガス等の資源分野での開発、投資、販売、取引等に参画すべく、実施して参ります。
  5. エンジニアリング
    ・ 既に、JNEの光ファイバー芯線貸し情報通信事業、LPG地下備蓄コンサルティングや建物性能評価事業等の実績を有しておりますが、今後当社グループの土木、建築、電気、機械、通信、化学等多様な分野の人材・技術を一層幅広く市場のニーズの中で活用して戴けるよう、具体的なビジネスモデルの構築を進めて参ります。

(2) 推進方策
・ 既に国際事業部、新事業部の組織整備を図り、具体的なプロジェクトに着手しておりますが、今後これらの部門への一層の人材投入を図るとともに、事業シーズの発掘検討のためのインキュベーション組織を立ち上げます。また、これらの事業に従事する若手社員を対象に人材育成プログラムの整備を急ぎます。
・ また、ドメイン各分野においてアライアンスによる事業推進を図るべく、事業提携戦略を強化致します。
・ 卸発電事業以外の新しい事業分野を拡大するため、重点的な資金投入を行い、海外電力事業分と併せて、平成17年度までに700億円程度の投資規模を実現したいと考えています。
3.具体的事業目標
平成15年度を目途とする民営化とその後のさらなる事業発展を図るため、なお一層の株主資本の拡充を図るとともに、競争力の徹底強化により収益力を強化します。
株主資本額については、この3年間で約350億円の蓄積を実現したことにより、平成12年度末で約1300億円となりましたが、今後、収益力の強化、資産圧縮、民営化後の増資等により、平成17年度において株主資本比率20%達成を目標に取り組んで参ります。
この目標達成のためにも、経常利益については、今後電力自由化等により料金水準の低減化が進むものと考えられますが、平成17年度において400億円以上の確保を目標に、利益規模の拡大をめざします。
以上
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