未利用水力エネルギー開発に向けて
開水路落差工用発電システム(仮称:ハイドロアグリ)の実証試験実施

平成16年5月11日
電源開発株式会社

 電源開発株式会社(社長:中垣喜彦<なかがきよしひこ>、以下「J-POWER」という。)は、既設水路の未利用落差を水力エネルギーに有効利用するために、株式会社中川水力と共同研究を進めておりました開水路落差工用発電システム(仮称:ハイドロアグリ)について、平成16年4月より栃木県黒磯市にて実証試験を開始しており、平成16年12月まで実施する予定です。
 本実証試験は、那須野ヶ原土地改良区連合の協力を得て、同連合の管理する上段幹線用水路で行うもので、電力会社で初めて落差工部に本発電システムを設置し、実際に系統へ連系して運転を行いながら、実用化に向けた調査を実施するものです。
 なお、今般(5月7日)、水車発電機の故障時にも通水できる機能について、特許を申請しました。

○「開水路落差工用発電システム」について
 開水路落差工用発電システムは、既設水路の落差工部に直接、機器を設置して水力発電を行うものです。本実証試験は、那須野ヶ原土地改良区連合が管理する農業用水路の一つである上段幹線用水路の落差工部に本システムを設置して発電を行うもので、系統に連系して発電性能試験を実施するとともに、振動や水圧による既設構造物への影響、連続的な安定運転、保守管理の頻度および機器の改良点の確認などを行う予定です。

 本システムの特徴としては、以下の項目が上げられます。
既設水路の落差工を利用し、新たな水路構造物が不要のため、コストダウンが可能。
工場で製作しプレスキャスト化された機器を直接、設置するため、短期間の現地施工が可能。
発電システムの大部分がメンテナンスフリーであり、運転・維持管理が容易。


[発電計画]
・所在地 栃木県黒磯市百村地先
・水路名 上段幹線用水路(7号落差工内)
・発電方式 流れ込み式
・最大出力 30キロワット
・落差 2.00メートル
・最大使用水量 2.40立方メートル/秒 (非灌漑期 1.29立方メートル/秒)

[主要構造物]
・水車 立軸カプラン水車
・発電機 立軸三相誘導発電機


○未利用水力開発の意義とJ-POWERの取り組みについて

1.未利用水力開発の意義
農業用開水路は全国に幹線で約45,000キロメートル、支線で約400,000キロメートルが設置されており、2メートル以上の落差を確保できる開水路落差工は多数存在します。このような低落差を用いた発電システムは現在のところ希少であり、これらの未利用落差は充分に有効活用されていない現状にあります。
平成15年4月に施行されたRPS法の中では、水路式で出力1,000キロワット以下の水力発電は、風力や太陽光等と並んで新エネルギーの一つに認められております。このため、これを機に、未利用水力開発は今後の推進が期待されるものであります。

2.J-POWERの取り組み
1) J-POWERは、新エネルギーとして現在脚光を浴びている風力発電にも積極的に取り組んでいますが、水力発電は一般的に風力や太陽光等の自然エネルギーに比較して供給安定性に優れているという特徴を有しており、今後小規模水力も自然エネルギーの一翼を担うものと考えています。
2) J-POWERは国内に約855万キロワットの自らの水力発電設備(設備シェア日本一)を有しており、これらの経験により培われた技術を十分に活用できると考えております。
3) J-POWERは、自らが発電事業者となる小規模水力発電の開発のみならず、小規模水力発電に係るエンジニアリング業務についても積極的に取り組んでいくものであります。


[参考]
 本発電システムの類は単機では出力100キロワット程度以下の小規模なものとなり、概ねマイクロ水力発電の範疇に入ります。マイクロ水力発電とは、出力100キロワット程度以下の水力発電を指すこととされています(新エネルギー・産業技術総合開発機構「マイクロ水力発電導入ガイドブック」による)。


以上
添付書類