小学生親子向け 水力編@御母衣ツアー

エコ×エネ体験ツアー 水力編@御母衣小学生親子ツアー プログラムアドバイザー

エコ×エネ体験ツアー@御母衣 小学生親子編(10.8.26〜27)に参加して

高度に細分化、専門化された社会に生き、提供される科学技術の成果を享受する暮らしを送っている私たちにとって、「つながり」はブラックボックスの中に隠されています。特に山、森、川、水、そして水力発電のように、長い時を経て形作られた自然のシステム、それを上手に利用してきた先人の知恵、水の恵みを発展させて起こす電気とのつながりは、地理的、時間的な広がりを含んでいます。これらと電磁気学を巧みに組み合わせた発電技術とは、密接な関係がありながら、それと意識し学ばなければ、見ずに通り過ぎてしまうかもしれません。

エコ×エネ体験ツアーでは、巨大なダムの迫力と、そこで働く人の努力と誇り、そして自然の仕組みとのつながりをていねいなプログラム構成の中で体験できるよう設計されています。源流をたどり川が生まれる瞬間を観察し、森につもった葉の下を掘り湿った土を手にしたことと、電気に支えられた便利な私たちの生活がつながることを心と体で感じる体験は深い学びとなり、人や社会と環境が自然な形で心の中に結び目を作っていくことでしょう。

このような機会に恵まれることによって参加者は、ツアーで扱われた自然、水力発電などの特定のテーマに限らず、循環、自然の利用、先人たちの知恵、技術の投入など、今後の学びを実感を伴って受け止め、自らの知恵へと発展させていくことができるでしょう。

また、トヨタ白川郷自然学校との協力体制により、周辺の自然や白川郷の暮らしや森に対する理解が深められていることは、プログラムに深みを増し、触れる楽しさ、感じる楽しさ、そして体と頭を使うことの喜びにもつながったことでしょう。エネルギーを提供する企業として、未来のエネルギーを共に考える人材づくり、心づくりを目指して、このような機会が多くの人に提供されることを期待します。

サイエンスカクテル
古田 ゆかり

プロフィール:古田ゆかり
フリーライター/サイエンスリテラシー プロデューサー/北海道大学 科学技術コミュニケーション教育研究部 客員准教授

科学 と社会・生活、環境、サイエンス・リテラシーなどを主なテーマとし、雑誌・単行本などの企画・制作・執筆、環境やサイエンスミュージアムの企画・プログラム開発・実施などに携わる。生活者の視点から科学技術を考える「リビング・サイエンス」の考え方を発案。これを元に科学館等における科学と社会の学びを創造する自主グループ、サイエンスカクテルを主宰。文部科学省中央教育審議会 初等中等教育課程 高校理科専門部会元委員。主な著書『環境スペシャリストになるには』(ぺりかん社)、『おはようからおやすみまでの科学』(筑摩書房)共著、『日本FOOD紀』(ダイヤモンド社)など。

http://www2.ocn.ne.jp/~cocktail/index.html