大学生向け 水力編@奥只見ツアー レポート

エコ×エネ体験ツアー 水力編@奥只見大学生ツアー プログラムアドバイザー

安定感のあるプログラム 継続を見据えた課題設定に期待

環境とエネルギーの問題は、ある一方向からのアプローチでは理解も解決もできません。複雑な要素が混在し、科学的知見、人々の心、未来に対する責任を踏まえて多角的に考え、議論していくことが大切です。その意味で、水力発電所のリアリティ、電気が起こるしくみを理解するための発電実験、奥只見の地域や歴史に触れる屋外でのアクティビティ、そして自然を心で理解する環境教育プログラムを経て、最終日の「行動化へのワークショップ」へとつながる水力編@奥只見大学生ツアーは、多くの要素が意識され、構成についても行き届いた配慮がされています。

経験と蓄積によって完成度を高めたプログラムが、洗練と自然が矛盾なく共存したファシリテーションによって具現化された好例であり、参加者の内面が活性化し、各自の問題意識の高まりが感じられるもので、ぜひ多くの人に参加してほしいプログラムです。

一定程度の完成度に到達したプログラムは、次の課題をどのように設定するべきかという新たなフェーズに挑戦することもできます。参加者が運営の一部を担ったり、上級者向けアドバンスコースを設定したりするほか、同じプログラムを継続することも一つの選択肢として、今後のプログラムの展開を検討できる機会となるのではないでしょうか。

エコ×エネツアー火力編 大学生編は、これからも、参加者が知識と体験をバランスよく心に刻む大切な学びの場となっていくことを願っています。

サイエンスカクテル代表・北海道大学 特任准教授
古田 ゆかり

プロフィール:古田 ゆかり(ふるた ゆかり)
サイエンスカクテル代表・北海道大学 特任准教授

食とエコロジーの生活情報誌編集部を経て、1991年よりフリーランスのライター・エディターとして活動。環境、科学と社会・生活、サイエンス・リテラシーなどを主なテーマとし、生活情報誌、科学学習雑誌、単行本などの企画・制作・執筆、環境ミュージアムの企画などに携わる。生活者の視点から科学技術を考える「リビング・サイエンス」の考え方を発案、提唱し、これをもとに科学館等における科学と社会の学びを創造する自主グループ、サイエンスカクテルを主宰。北海道大学 高等教育推進機構 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)特任准教授。