大学生向け 水力編@奥只見ツアー レポート

エコ×エネ体験ツアー 水力編@奥只見大学生ツアー プログラムアドバイザー

「エコ×エネ」体験学習ツアー(大学生編)に参加して

持続可能な社会を作るためには、これまで慣れ親しんだ常識や慣習を見つめ直し、新たな価値観を個々人が構築していく必要があります。でも知識を伝えるだけでは、人の価値観をゆさぶることは難しい。ほんものと出会い、感じ、考え、多様な立場の人と語り、議論することによってこそ、人は自らの価値観を刺激し、思考を深めることができます。

「エコ×エネ」には、様々なほんものと出会う場がたくさん設定されていました。莫大なエネルギー需要を支えるインフラの存在感、そこで働く人々の努力や誇り、かつてダムを作った人々の労働と犠牲、水力発電を支える自然(森)の保水力、ブナの森の多様な生き物、そして人工的な光のない世界での星空の輝き! 学生たちもエネルギーの大切さ、自然の力の偉大さ、自然のここちよさなどを、頭だけではなく、五感を使って感じ、またそれらをつながりとともに考えることができたと思います。

また、参加した大学生の専門は、教育、工学、自然科学、金融工学など多様であり、そんな混成メンバーでの議論は非常によい刺激になっていました。さらに、ダムで働く人、広報や社会貢献事業を仕事にする人、マスコミ、環境教育の専門家、環境NGOのスタッフなど、日頃接することのない大人たちとの出会いや会話を通して、学生達は、多様な働く場や働き方、働くことの誇りや悩み、また企業とNPOのパートナーシップなど、「エコ×エネ」を超える様々な刺激を受けていると感じました。

「エコ×エネ」は、「自然の営みとエネルギーのつながりについて理解を深め、環境もエネルギーも大事にする心を育てる」という点で、素晴らしい学びの場でした。しかし、持続可能な社会づくりの担い手である大学生たちが対象であれば、次はぜひ、さらにもう一歩つっこんで、「エコとエネのジレンマ」をどう克服していくのかを考える、という課題に挑戦していただければと思います。

NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議 事務局長
村上 千里

プロフィール:村上 千里(むらかみ ちさと)
NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議 事務局長

1992年、社会問題に直接かかわる仕事がしたくなり、外資系コンピュータ会社から環境NGOに転職。民設民営の環境情報センター「ジャパンエコロジーセンター」、環境省所管の「地球環境パートナーシッププラザ」等の開設・運営に携わり、行政・企業・市民の環境パートナーシップの推進をテーマとした事業に取り組む。
'98年フリーとして独立。市民参加や環境教育・環境学習をテーマに、講師・企画・調査等を行っていたが、2002年、「持続可能な開発のための教育の10年」の推進運動に参加、翌年その推進組織の立ち上げに携わり、現職にいたる。