安全設計の基本的な考え方

多重防護の考え方(3つの安全対策)

発電所の安全対策

原子力発電所では、多重防護の考え方に立った適切な設計、建設、運転および保守の全般を含めた安全対策を講じ、放射性物質の異常な放出を伴う原子力発電所の事故の発生防止に努めます。

多重防護の考え方とは、第1の安全対策に加えて、第2、第3の安全対策を講じておくというように、何段階もの対策を実施することをいいます。

■第1の安全対策

第1の安全対策は、「異常の発生を未然に防止するための対策」です。ここで、「異常」というのは、通常の運転状態と異なる状態をいいます。
この対策としては、設計、建設、運転および保守の各段階を通じて厳重な品質管理などを行い、信頼性を高めるため、次のような対策を実施します。

●設計段階の対策

機器の性能、強度などに安全上十分な余裕を持たせた設計の採用、誤操作防止のためのインターロック・システムの採用、故障があった場合でも安全側に作動するフェイル・セイフ・システムの採用など。

インターロック・システム
たとえば、運転員が誤って制御棒を引抜こうとしても、正しい手順を踏まないと制御棒の引抜きができないようにするなど、誤った操作による機器の動作を防止するシステム。
フェイル・セイフ・システム
たとえば、原子炉停止装置用の電源がなんらかの原因で切れた場合には、制御棒が炉内に挿入されて安全に停止できるなど、システムの一部に故障があった場合でも安全側に作動するように設計されているシステム。

●建設段階の対策

機器や設備の工場製作から現地据付け・試運転段階までの全般にわたる品質管理の実施や、機器・設備が設計どおりの機能や性能を有するかを確認する使用前検査の実施など。

●運転および保守段階の対策

安全上重要な設備の動作試験、日常の定期的な点検保守、原子炉を停止しての定期検査の実施など。

●自然災害の対策

地震、台風、高潮、津波などの自然条件に対する十分安全な設計。

■第2の安全対策(「止める」)

第2の安全対策は、「事故への拡大を防止するための対策」です。
これは、第1の安全対策のバックアップであり、運転中になんらかの故障や異常が発生した場合、各種の計測監視装置により早期にこれを検出して、原子炉停止装置などの安全保護装置の作動により、異常の拡大および事故への発展を防止するものです。この安全保護装置には多重性をもたせ、確実に作動するようにしています。

■第3の安全対策(「冷やす」、「閉じ込める」)

第3の安全対策は、「放射性物質の異常な放出を防止するための対策」です。
前記の第1、第2の安全対策を講じることにより、外部に異常な放射性物質の放出をもたらすことのないよう万全を期しておりますが、さまざまな事故を想定し、原子炉の安全が確保されるように非常用炉心冷却装置(ECCS)や原子炉格納容器などの安全防護設備を設けます。

上記に加え、新規制基準を踏まえたシビアアクシデント対策、テロ対策等の対応も行っています。

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